
浮舟
@ukibune_1991
2026年3月22日
少年
川端康成
感想
川端康成の少年時代について日記を元に書かれた小説形式のエッセイ。
川端の青年期から現在に至るまでの美学や価値観が詰め込まれている。川端は16歳で全ての家族を失い親類に育てられた為、孤独に苦しみ愛を求めていた。
幼少から、世間並みではなく、不幸に不自然に育って来た私は、そのためにかたくななゆがんだ人間になっていじけた心を畸形(きけい)と思うのが返って私をその畸形から逃れにくくもしていたようである。114p
とあるように、自身でも歪みを感じて苦しんでいた。しかし、同性愛の清野の出現によって、川端に新たな価値観が生まれる。
清野は川端を尊敬しており、川端の全てを全肯定する事で、川端は安らぎと共に自由を得た。それと同時に清野に近づく人達に激しい嫉妬と怒りを齎す事もあった。
また、清野を愛していた川端だが、19歳の時に初代も愛してしまう。そのどちらに対する愛と裏切り行為は川端作品の中で人間の業として描かれていたりもする。
このように清野との出会いにより川端康成は人間の純粋な一面、支配欲、嫉妬、怒りを学び、初代との出会いから愛と裏切り、人間の業を学びそれが作品に昇華されているのだろう。
実際に川端康成は"川端初恋小説集"で初代の事についていくつも形式を変えた小説を連続させており、清野についても"女であること"に登場させて想いを馳せている。
そのような川端康成の原点であり、価値観が詰まった一冊だと私は感じる。
