
はれのそらし
@murasaki_no_sky
2025年3月16日

働くということ 「能力主義」を超えて
勅使川原真衣
読み終わった
@ 自宅
理系の学問がこの世の物事を式に表していくことで世の中を便利にしていくことなら、文系の学問は何をしてくれるのか。よく疑問になりますが、文系の学問の多くは「この世に1人ではないこと」を教えてくれる学問だと思います。
個人が抱えている生きづらさ、悩み、それらを考え抜いてきた先人がいたり、今同じ時代に考えて研究している人がいることが、孤独を埋める安心感をくれるのです。
今回、社会教育学というものをこの本から学びました。まさしく私が抱いてきた社会の仕組みそのものを疑う本で、最初に一章を読んだ時、頭をガンガンと叩きつけられるような衝撃でした。
この本は、人を「選ぶ」「選ばれる」という関係に置くことに疑問を提唱するものでした。
大学時代、私は就活をする人を見ていると本当に頭がおかしくなりました。私の友達は選ばれるために産まれてきたのではない。私の友達の良さを何も知らないくせに面接をして「選んでやる」という企業の姿勢に気持ち悪さと吐き気を覚え、この世の理不尽さに鬱々としていました。
あなたがここにいることが何よりも大事だと私に言ってくれた人達が、選び選ばれる立場にいることにどうしようもない違和感と気持ち悪さを感じて、私は就活というものが怖くて仕方なかった。友達ひとりひとりを大切にしてくれる彼女達に選ばれないなんて選択肢があることが怖かった。気味が悪かった。
今もリクルートスーツの集団を見ると怖さを感じます。選ばれた人達も選ばれなかった人達もこの中にはたくさんいて、大企業であればあるほど自分を選ばなかった会社の商品が身近にあることはすごく気持ちが悪いのでは?と想像すると…とてもではありませんが耐えられません。
ですが、今回本を読んで、私だけじゃない、この社会にはびこる、人を「選んでやる」という姿勢に疑問を抱いてきたのは私だけではない。それを知ることができた。本当に出会えてよかった。私は孤独ではなかった。私の抱いた気持ち悪さを生きづらさを疑問に思っている人はいたんだと、安心した。





