おとわ "憐憫" 2026年3月23日

おとわ
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@mofbook
2026年3月23日
憐憫
憐憫
島本理生
島本さんの書く小説を読んでいるといつもその間の世界はセピア色、もしくはモノトーンだ。だから急に現実に浮上してくるとあまりの明るさにしばし呆然としたりする。この本もそうで、なぜ惹かれるのかいつも謎だったけれど、こんなふうに沼に沈みこんでいくような感覚になることが他にないからなのだろう、と思った。 主人公の沙良の前に突然あらわれた謎の男性、柏木さん。本編では沙良の事情しか窺うことはできなかったが、彼女にとっての柏木さんの必要性は読み進むにつれじわじわと染み込んでいく。恋愛とか友情とかわかりやすい関係性はどこでも描かれているから、そうじゃない二人の物語にどんどん引き込まれていったのかもしれない。 収録されている短編、最初は全く本編と関係ないものなのかと思い新たな気持ちで読んでいたのでふんわりと繋がった瞬間驚いた。この短編は読めてよかったなあ。まさかの柏木さんの過去……怖い。と私も声に出しそうになった。
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