
ジクロロ
@jirowcrew
2026年3月23日

信頼 (ちくま学芸文庫リ-13-1)
アルフォンソ・リンギス,
岩本正恵
読んでる
生がもっとも強烈に、深部からの活力を得るのは、なにも知らず、感覚を失い、目のくらんだ状態になるために未知の世界に飛びこむときだ。人間は、すべての諸力が解放されたとき、最大の危険を追求する。生は本質的に過剰だ。生は世界の連結と歯車における過剰な行ないだ。
……
ハイチがひとりのアメリカ国民の人命にも値しないのなら、わたしにとってもなにもなかった。わたしがハイチの経済や社会に貢献できる術はまったくなかった。大統領宮殿の庭から持ち帰れるものはなにもなかったしなんの考えも、洞察も、知識も、ほかで使えるものはなかった。わたしは外部からではなく、庭園の内側から群衆を観察していた。わたしは彼らのなかで、彼らのよろこびのうねりのなかで迷子になった。
(p.251『ヴードゥ』)
他者の熱狂を前に、為すすべはない。
熱狂のうちにある人間は弾丸に近しい。
当たっても、外れても、その終わりには
暗闇に埋もれる必定。
「生は世界の連結と歯車における過剰な行ないだ。」
芥川龍之介の目の奥で回り続けた
透明の歯車もまた、「過剰」の表現の
ひとつなのだろう。
芥川の場合は、大衆的な身体の熱狂とは真逆の、
孤独のうちにおける冷たい言語的な過剰。
