
紫嶋
@09sjm
2026年3月23日

冬虫夏草
梨木香歩
読み終わった
借りてきた
前作にあたる『家守綺譚』が大変好みだったため、続けて読むことにした。
続編にあたる今作も、日々の営みやその傍らに咲く草花、そして不意に顔を覗かせる人ならざる不可思議な存在たちの様子が、静かで繊細な描写を以て綴られている。
とはいえ、前作と今作には違いもある。
前作が主に主人公の住まう家とその近所の閉じた空間の中での出来事を中心としていたのに対し、今作はその空間を飛び出して、隣県の村々、そして山中へと次第に行動範囲を広げていく。
平地の暮らしと山間の暮らし、それぞれの地で目にする自然のあり方の違い、行動範囲と共に広がっていく現地民との交流などが、結果として前作と今作の僅かな「におい」の違いを生み出しているようにも感じられ、面白い。
今作は実在の地名が多数登場することもあり、主人公が辿ったであろう道のりを地図上で確認しながら読み進めるのも楽しかった。
飼い犬のゴローは何やらなかなかに徳の高い犬のようで、もはやただの犬ではなく神聖な何かになりかけているような気もする。
それでもラストには犬らしく嬉しそうに主人公のもとへ駆け戻ってくる様子が確認できて安心した。
今のところ、本シリーズはここまでのようだが、同じ世界観でまた梨木さんの文章を読んでみたい。続編希望。
