
喬林
@unnatural_67
2026年3月22日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
アンディ・ウィアー,
小野田和子
読み終わった
話題作がついに文庫化したというので読んでみようと思ったものの、本当に文庫本か?と二度見する価格(×2)にビビって一旦諦め。普段ほとんど海外の小説を読まないので相場がわからないが、庶民が足踏みするには十分な値段設定だった。でも結局買った。意味不明な衆議院解散やら理解不能な軍事攻撃やらに怒りが湧いて、読みたい本に3000円出すのを躊躇うくらい給料から税金取られていることにもムカついて、なんかもう世の中全部に腹が立ってヤケ買いした。そうして良かったと思う。※ここまでネタバレ配慮のクッション駄文です※
最後の一文まで読んで、「おお~~~」と声に出して嚙み締めてしまった。なるほど、そこに着地するとは思わなかった。ロッキーのおかげで手に入れた地球への帰還という希望をロッキーのために手放す。なんという友情か…… たとえ死を覚悟してプロジェクトに志願した者でも、生きて地球に戻る道があると言われたらきっとそれを選ぶ。グレースは意思に反して強制的にヘイル・メアリー号にぶち込まれたのだからなおさらそうだろうに、友のためなら片道切符の旅を選び直せるんですよこの男は。凄いぜ。逆の立場ならロッキーも同じことをしたんだろうなと思わせるのがまた凄い。
文章だとロッキーの発話が普通の台詞に置き換えられているので、だんだんタチコマの声で脳内再生されるようになり……(実際はいろんな和音が鳴っているんだよね、それもまた良い) 『メッセージ』を観た時も思ったけど、全く異なる言語を用いる種族と出会った時に解析して翻訳ツール生み出せるの本当に頭良いよね(頭悪い感想) この作品だと結構初期段階で言語の壁をクリアしててグレースの有能さを感じた。ある分野では第一線にいた研究者だけど内容がアレで異端扱いされ追放、のんびり中学教師をしていたら突然世界的プロジェクトのメンバーに抜擢されて……?ってメチャメチャ主人公すぎるなコイツ。
グレースが泣いている時にロッキーが「顔に漏れがある」とか言うの涙を流すことのない生物ならではの表現でかなり好き。
物理も化学も全然わからない人間なりに、アストロファージもタウメーバも薬にもなるし毒にもなるみたいな性質を持っていることに「いやいや設定が上手すぎんだろ」と唸らざるを得なかった。最後食糧問題を「タウメーバ食えんじゃね?」で解決したのはシンプルで鮮やかでお見事。
あと、地球全体規模でヤバい事態が発生したら世界って手を取り合えるんだ……という一種の希望を見た気がした。もちろんこれはフィクションで現実はどうかわからないけど、そうあってほしいというかできると信じたいというか。毎日毎日毎日毎日胃が痛くなるようなニュースばかりでただ戦争反対と願うだけでパヨクと言われるような狂った世の中なので、フィクションくらい希望を見たいと最近は思うようになっている。抗うことを止めないでいたい。

