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@mayoibashi
2026年3月23日
読み終わった
まずはじめに私の意思を申し上げる。断酒しようとは1ミリも思わない。ふわふわと脳が酒漬けになり、空き缶を積み、愚にもつかないよしなしごとを語らった翌日便器に頭を突っ込んで「二度と飲むものか」と恨み言と共に胃の内容物を吐き出したとしてもだ。その日一日は殊勝な態度でいても、週末になると「酒が飲める飲めるぞー酒が飲めるぞー」と歌い出し、近所のスーパーで6缶パックを買い物かごに放り込み、簡単なつまみをいそいそと用意しながらキッチンでプルタブを引く。「今この瞬間を全力で楽しもうとする自分」に既に酔っている。そう、飲酒はとても気分が良い。
本書はマニュアル本ではない。というかマニュアル本なら手に取らない。断酒をしている人の本、それも大酒飲みを自称している人が書いている断酒本である。筆者はやめたきっかけについて正気を失った。「ただなんとなく」飲み始めた酒は「ただなんとなく」でやめれるものなのかということに興味が湧いた。
読んでいくうちに冒頭で書いた意思表明がぐらつく。しらふでは狂えないから酒を飲み、調子に乗る、乗りすぎて後悔する、そして懲りずに飲む。飲んでいない日々に蓄積されていく鬱屈さで身体が文字通り重く感じる。悪循環である。するとどうだろう。飲酒のみならず喫煙も極端な不眠・過眠もその悪循環の一角に担い、それらの行為が命の前借りであることに気づく。別に長生きをしたいとは思わないが、「理想の死に方〜ある晴れた日に縁側で眠るように〜」から遠ざかっていくような気さえしてくる。そして遂にはそっち(断酒して人生面白くなる)側の人間になりてーな、などと手放しで憧れてしまった。あーあ。

