阿久津隆 "アブサロム、アブサロム 上 ..." 2026年3月15日

阿久津隆
阿久津隆
@akttkc
2026年3月15日
アブサロム、アブサロム 上 (講談社文芸文庫 フA 2)
長い斜体のローザの語りを抜けてからはまた面白くなってきていて、この時間が楽しみだった、シュリーヴの暴走が止まらない。 「そうだ」とクェンティンはいった。 p.334,335 「そして、ラスターが話していたのは、その時の子供のことだった」とシュリーヴはいった。「そして君のおとうさんはまた君の方を見ており、それというのも君はその名前をまだ聞いたことがなく、その日君たちが菜園で彼を見た時、その子に名前があるとさえ考えなかったからだ。そこで君は、『だれだって? ジムだって』というと、ラスターが、『あいつですだよ。あのばあさんと一緒にいた、光ったコーヒー色の子供ですだよ』といい、すると君のおとうさんがまだ君を見ているので、君は、『どういう綴りだい』というと、ラスターが、『そいつは法律家のいうこったね。法律にとっつかまったら、そういうことを聞かれるだ。だけんど、おらは耳でおぼえた言葉をその通りいうだけだな』といった。そこでそれがあの時の少年で、名前はボンドだとわかったが、その少年にとっては名前なんかどうでもよかっただろう。だって彼は母親から受けついだものだけでできており、父親から受けついだものは決して現われそうもなかったのだから。そしてもし君のおとうさんが彼に、お前はチャールズ・ボンの息子かと聞いても、そうかどうか知らなかったばかりか、気にかけもしなかったろう。またもし君が彼に、お前はそうなんだ、といったとしても、そんな言葉は(彼ではなくて)君が彼の心と呼ばざるをえないものに一瞬触れるとしてもたちまち消えて行き、どんな反応も、誇りも喜びも、怒りも悲しみも、なに一つ惹き起こすことはできなかったろう。そうだろうが?」 「そうだ」とクェンティンはいった。 そうだろうが? いやー、すごい。すごい、すごい、と思っていると上巻が終わった。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved