
和月
@wanotsuki
2026年3月25日
掃除婦のための手引き書 --ルシア・ベルリン作品集
ルシア・ベルリン,
岸本佐知子
読み終わった
ゆっくり、少しずつ、味わって読んだ。
度数の高いカクテルみたい。飲みやすさに任せて一気に飲むと酩酊しそうな気配が全体に漂っている。
著者の人生をベースに描かれる掌編の数々は、本当に1人分の人生なの?とビックリするくらい、起伏に富んでいる。アルコール依存症のシングルマザー、友達のいないネグレクト状態の女の子、富裕層として不自由なく暮らす少女。一貫してウィットな視点で物語が展開するので、ばらばらな印象にならない所が凄い。鋭く知的でしたたか且つ冷徹さと情熱を併せ持つ女性像が、読んでいて痺れる。読んでいて苦しくなるような題材・展開の中、エネルギッシュで簡潔でユーモアのある文章が展開されることで、唯一無二の魅力に溢れている。この苦しさと魅力の天秤が絶妙なバランスで釣り合っていて、ファンが多いのも納得の作品。
表紙のルシア・ベルリンの写真も、文章からイメージしていた女性の姿形そのままという感じがして素敵。どの短編も素晴らしいけど、「沈黙」が本当に苦しくて、本当に好きだった。


