猿馬大咳 "文庫版 姑獲鳥の夏" 2026年3月25日

猿馬大咳
猿馬大咳
@sarubaaaaa
2026年3月25日
文庫版 姑獲鳥の夏
僕が読書をするきっかけになった、原初体験。 「かがみの孤城」を読了し、呆然としていた中学一年生の夏、父に何か面白い本は無いかと問う。そうすれば、「京極夏彦がある。奥の本棚(父が学生の頃に読んだ漫画や小説が眠っている)から、勝手に取って読むがいいよ」と言われて、僕は小説という世界に狂った(父の言に、若干の着色はありけり)。 無意識と意識──事実を事実として描かれるミステリにとって、ほぼ禁断の題材(主観)──そのハードルを易々と越えた! アンチミステリ的とも言える。 僕はこの作品で下手なことは言えない。あけすけと言えるほど、僕には度胸が無い。 だからメチャクチャに言葉を濁してしまえば、この本は生きた死体のようなもので、自分の隣にスッと佇んでいるような……そんな本なのだ。 もうまともに読んだのも随分前だから、記憶が曖昧だ。 しかし、推理にとって知覚というものは、命綱でありながらあまりに脆い……そんなことの再確認をしているかのようだった。 ピタリピタリと収まるパズルではなく、どこにも無い、最後の数ピースがどこからともなく現れるような、そんな感覚に陥る。 人によってはこれこそ、読みにくい小説筆頭であるかもしれない。しかし、その盤石な理論と世界観に、為すすべなく惑わされてしまう懸命な読者になることは、至上の幸福だと思う。 そして、更にこの本を読む意義がある。それは、この「姑獲鳥の夏」から始まるシリーズ──「魍魎の匣」や「絡新婦の理」をふんだんに楽しめるようになるのだ(まあ、シリーズものですし、当然と言えば当然ですが)! どちらも、日本の小説の歴史に名を残す偉大な書だと僕は確信している。 ↑結局書評もどきになったじゃないか!
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