
食いしん坊ちぇりぃ
@yummyyummycherry
2026年3月25日
平場の月
朝倉かすみ
読み終わった
責任にとらわれ、正しさに縛られ、互いの人生に入り込みきれない2人の関係は「大人の恋愛」という言葉では表すことができない何か別のものを感じさせられた。
手に取った時はあっという間に読み終わりそうと思ったんだけど、ボリュームのわりに思いのほか時間がかかったなー。青砥と須藤の苗字呼び+羞恥心がまるでないかのようなあけすけないじり合いからは中学時代のフレッシュでドライな男女の友人関係を感じ、少しずつ関係性が深まっていく様子や、病の登場後も胸がじんわりあたたかくなるシーンもあって、“平場の幸せ”を感じた。でも、物語の冒頭で時間経過と共に須藤の死が近づいていくんだという結末がわかってるだけに読み進めるのを躊躇ってしまいちょこちょこしか読めないというあまり経験したことのない読書体験だった。
青砥はな、、須藤にとってはイイヒトなんだけど、時折差しこまれる妻との回想で本質的にイイヒトというわけでもない感じが出ていて、だからいまいち信用できないな…一過性の熱で気持ちが盛り上がっちゃっているだけなのでは…という視線を彼に送っていたら肝心なところを踏み外しちゃって、なんか名前の通りあおいんだなと思った。
須藤の方はと言うと、生き方と過去にギャップがありすぎて私の人生経験が足りていないからか、キャラクターの同一性に欠ける気がして、後半語られる自己嫌悪の話がすんなり入ってこなかった。一気読みしてたら雰囲気で行けた気もするんだけど。人間らしいってことなのかな…あんな振れ幅の大きな人生送る人もいるのかしらね。青砥側の目線の方が多い語りだったけど、「冷静と情熱のあいだ」みたいな感じで、両方の視点からで読めても面白い設定だったかも。
あと、「マチネの終わりに」を読んだ時も思ったんだけど、愛し合う2人がミスコミュニケーションですれ違うっていうのが大人の恋愛ものにはよく出てくる気がして、そうでもしないと別れの動機付けができないのかもしれないけど、なんかこうリアルの男女はもっと傷つけ合いながらも曝け出して話し合いを尽くしたりして泥々になる気もするから「実はこのクリティカルな情報が伝わっていなかったのです…!!」というカラクリはなんかお話感がそこで急に出ちゃって一気に目が覚めちゃう気がするの。



