
猿馬大咳
@sarubaaaaa
2026年3月25日
世界99 上
村田沙耶香
かつて読んだ
村田沙耶香の小説の主人公は斜に構えてる……というよりも、普通の人間とは別ベクトルで話が進むから、他の純文学とは一線を画す気がする。主人公が異常であることは、他の小説にも全然あり得ることなのだけれど、自身の特異性を認知しても訂正する気がさらさら無い、むしろ、現状にあまりにポジティブな印象がある。
ドス黒い闇の中でも、謎に自身の生き方に執着があるから恐ろしい。
けれど、この本はまた違う気がする──最近、冷笑という言葉をよく訊くけれど、村田沙耶香の小説は頻繁に、他人に対しての冷笑めいた描写がある。
でもこの小説は、本当に無関心、冷笑も起きなければ、自身を顧みて冷笑することも無い。ただ、思ったことを淡々と、感情を介せず、客観的に見ている。
感情の無い主人公……ベターだけれど、意外にも物語と噛み合っている。
如月さんの見ている世界と、SNSのアカウントの掛け持ち……物語の中で言えば、世界一、世界二、世界三みたいなのを誰でも持っていて、如月空子のような側面を誰でも持ってしまっているような節がある。
だから、この本は読者──社会に馴染んだ人物の暗示のように思えてならない。
主人公の何事にも無関心なのも、社会への適応や諦めみたいで、なるほど妙にリアリティがあるのはそういうことか! と思ったりする。
ピョコルンという生き物の役割も明快でわかりやすい。特に、上の後半で明かされる正体は「まあ、そんな気はしていたさ」という感じではあったけれど、それでも覆えない恐怖があって、下に手を出すまでかなり時間がかかった。
あくまで僕の想像でしかないのだけれど、それに深夜だから、よくわからない文章を書いているかもしれない。
でもこれは、コンビニ人間を超える、小説の新領域だと思う。
バチクソ高くてお財布がひいひいだったけれど、文庫化してから買うのがいいかもしれない。正直もう一万は払ってもいいなあ、と思う……そんな小説でした。
中学生活を彩った、思い出の一冊です。
