こよなく
@funyoi
2026年3月26日
イラン現代史
黒田賢治
読み終わった
本書は、イラン革命以後の政治・経済・社会の変遷を描いた一冊であり、特に政治制度の構造が興味深かった。
最近、日本の政治制度について、憲法改正の高いハードルや二院制によって意思決定に時間がかかる仕組みなど、拙速な変化を防ぐ点でよくできていると感じている。一方で、憲法解釈の運用や三権分立の実効性に疑問を抱く場面もある。
こうした関心から見ると、イランの政治制度は非常に新鮮で興味深い。大統領や立法府であるイスラーム評議会は国民の選挙によって選ばれ、選出された大統領も国際協調路線やポピュリストだったりと、意外にも民主的なことに驚く。ただ、最高指導者が強い権限を持ち、監督評議会や革命防衛隊といった機関が政治に大きな影響力を持っており、大統領候補は監督評議会の承認を受けなければならず、また同評議会は選挙監督も担うため、選挙の公正性には常に疑念がつきまとう。
さらに、この監督評議会は法律の制定を審議し、それが憲法やイスラームの理念に適合しているかを判断する機関でもある。構成は、最高指導者が任命する6人のイスラーム法学者と、司法府長官の推薦を受けて議会が承認する6人の法律家から成り立っており、宗教と法制度が密接に結び付いている点が特徴的である。
また、宗教的少数派に議席が制度的に保障されていることや、最高指導者に法学者としての資質が求められる点など、日本には見られない特徴も印象的だ。
そもそも、アメリカの介入に対する反発によって生まれた体制であって、権威主義体制の問題は感じるが、その社会の歴史や宗教、価値観と深く結びついて形成されてるものであり、一概に否定できるものではない複雑さを実感した。

