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こよなく
@funyoi
読んだ本の中身を恐ろしいぐらい憶えてないので、記録をつけることにしました。
  • 2025年12月11日
    敗北を抱きしめて 下
    敗北を抱きしめて 下
    下巻では憲法の作成や表現の規制から占領軍の「非軍事化と民主主義」が孕む矛盾を暴かれてる。 日本の占領に天皇の権威が大いに利用された訳だが、それだけ日本人の天皇に対する心理が買い被られており、連合軍の艦隊に天皇の肖像を描く提案がされてるのが面白い。
  • 2025年12月11日
    敗北を抱きしめて 上
    敗北を抱きしめて 上
    膨大な資料から草の根の声を拾い上げ、日本人の心理状態を分析しててかなり読み応えがあった。 そして日本人がどれほど権威主義か暴かれてる。だからこそ変化を簡単に受け入れられるし、天皇の戦争責任をあやふやにすれば、国民も戦争責任を真剣に考えることはしない。 敗戦がわかるやいなや軍人、政治家、官僚たちが1000億円の価値がある軍需物資を横流しして倉庫を空っぽにしてるのはカスのオーシャンズ11みたいだった。
  • 2025年12月4日
    万延元年のフットボール
    万延元年のフットボール
    「万延元年のフットボール」ってタイトルがずっと前から好きだったんだけど、難しそうで読むの躊躇ってた。いざ読むと装填されたテーマが飽和状態で、やはり自分の読解力だと手に余る。 「芽むしり仔撃ち」「個人的な体験」と割合同じようなことが書かれてた気がするが、バードが行けなかったアフリカに密は行くんだね、とか、数年前まで大江健三郎は生きてたんだよな、とか、考えてた。
  • 2025年11月23日
    消費者と日本経済の歴史
    自然淘汰的に便利で快適な方に流れた結果、今の自己責任かつ顧客満足を追求したお客様の時代なんでしょうけど、改めて消費者の権利と責任は自覚する必要があるなと。 外国人労働者の賃金未払のニュース見てから、あんなに好きだったシャトレーゼで買物するの未だに我慢してますんで、私も。
  • 2025年11月19日
    生き物の死にざま
    生と死は表裏一体ですから。死にざまと題されてはいるけど、多様な種が遺伝子を残す為の千差万別の戦略が知れる、雑学本として楽しめた。 人間も他の生物も遺伝子を残すプログラミングされた物体に変わりなくて、他の生物との違いは、人間の方が多少は複雑な思考が出来ることだと考えてたんだけど、最後の死を悼むゾウの話を読むと、ゾウの方が死について深く考えたり理解してたりすんのかなぁと。
  • 2025年11月18日
    芽むしり仔撃ち
    芽むしり仔撃ち
    理不尽や死の恐怖の存在感と、子供たちのみずみずしく溌剌と迸る情動。負と正、静と動の描写の気圧される。圧倒的な文章で読まされる時ってめちゃくちゃ嬉しい、文学に触れてるって気持ちになる。タイトル回収もゾッとした。理不尽や死ってそこに横たわってるだけで脅威。
  • 2025年11月13日
    第四間氷期
    第四間氷期
    山本研究所を訪れてからが超面白い。超SF。 偶然ドーキンスの進化の本を直近で読んでたから余計にくらった。長い時間をかけて自然選択的に進化しようと、意識的に改造して突然に進化しようと、未来を肯定するには現実は捨て去られる。 風を感じようとする水棲人の少年に感傷的になってしまう自分は、断絶した未来でも現実を温存したい側の人間だ。 先週の探偵ナイトスクープを見ていると、宿題の人権標語をAIに作ってもらい、あろうことか入選してしまった子供が出ていた。しかも同じようにAIに標語を作らせて入選した子が複数おり、誰も罪悪感を感じていなかった。これも未来の価値観なのか。
  • 2025年11月11日
    進化とは何か
    進化とは何か
    そりゃ「創造説」なんて信じてないし、人類には猿の祖先がいて、これからも進化していくもんだと前から思ってたけど、ムササビが50%の翼をもつ進化の途中過程だという視点は抜け落ちてたな。結局は他の生物に対しては完成形だと無意識に決めつけてたことに気付きました。私もまだまだですわ。 ダグラス・アダムスが『ギンガヒッチハイクガイド』朗読してるのは豪華すぎ。
  • 2025年11月9日
    medium 霊媒探偵城塚翡翠
    流石にあからさま過ぎるしミスリードかなと疑ってはいたが、犯人探しの方に注意が向いて、種明かしで「あ〜そっちか〜」ってなった。これがマジシャンが小説で仕掛けるミスディレクション、奇術か〜。技術をしっかりくらった感じ。 エピローグは無い方が好きです。
  • 2025年11月6日
    壁 (新潮文庫)
    壁 (新潮文庫)
    空虚や疎外感、現実からの逃避が自分の心に収まりがいいが、寓話感の強い話が自分はあまり楽しめないとも気付いた。 都市的なモノである壁に安心(居場所)を覚えて成長する壁となるラストは諦めのようにも感じるし、救いのようにも思える。死んだ有機物から生きてる無機物へ。 昔『砂の女』を読んだ際は、なんて残酷な話なんだと思ったが、あれもポジティブな結末だったのか。
  • 2025年11月1日
    外交ドキュメント 歴史認識
    「本書の主たる目的は批評や提言ではなく、日本外交の視点から政策過程を分析することにある。諸外国との関係悪化だけでなく、修復の局面にも紙幅を割く。筆者が断を下すというよりも、読者のために材料を整理して提供したい。何度でも再燃しうる歴史問題を論じるうえで、そのことは基礎的な作業となるだろう。」 歴史問題における基礎的な日本側の政策過程を確認できたのは良かった、女性基金の事とか知らなかったし。ただ、中国と韓国側の視点が薄く、歴史認識の問題を理解するには物足りなく感じる。
  • 2025年10月29日
    方舟
    方舟
    作者の読ませたがってる通りに読んで見事に騙された!気持ちいい〜!!デスゲームで負けた側の気持ちになれる! 翔太郎が軽視した動機や無関心だったことにこそ意味があったのか〜おもしろ〜
  • 2025年10月26日
    うるさいこの音の全部
    ヒリヒリする生焼けの痛みを味わいたくて、高瀬隼子さんの小説を読んでる。今作の主人公が作家であり、本が読まれることに感謝しつつも読者に抗議めいたのもあって、より一層ヒリヒリしました。 好き勝手にあれこれ言う周囲の声、相手に好かれようとする自分の声、そんな声に否定と反論を繰り返して答えもわからず悶々とする心の声が、うるさいこの音の全部。この音を消す方法が主人公にとっては物語を書いてる時なのかな。自分ならアルコールか。 周りにいい顔をしようとして都合を合わせていくうちに周りから生まれた知らない自分に侵食される恐怖。 後日談のタイトルが『明日、ここは静か』だから、全部黙らせて、書くことが出来るようになったのか、それとも明日への願いか。
  • 2025年10月23日
    歴史とは何か 新版
    歴史とは何か 新版
    歴史関連の書籍を読んでると『歴史とは何か』からの引用をよく見かける。 本書は大学の講演を元にまとめられたものであり、皮肉とパンチラインに溢れた文書には心惹かれ、頻繁に引用されるも納得。カー自身も講演の中であらゆる名句を引用しまくってるので、意識的にやってたんじゃないかな。 第一講〜第四講までは、歴史の見方、歴史と現在の関わり方が記述されている。歴史とは過去の事実を並べるだけものでなく、現在から解釈を与えるもので、同時に現在の解釈も過去の事実によって影響を受ける相互作用ですよ。ただ解釈を与える歴史家も社会的影響を受けて解釈を与える個人ですよ。歴史を学ぶ時は歴史家の背景を学びましょう。そして偉人も社会の影響を受ける個人であり、歴史的事象は偉人1人が起こすものではなく、その時代の意思をもった個人の大衆の影響が大きいですよ。歴史と科学は近しくて、どちらも蓋然性が見えてくる一般化をしてますよ。みたいなことが書かれてて、まぁわかるなぁって感じ。 第五講からは歴史を通して現在、そして未来について書いてある。自然から脱却し自意識を持つことで歴史を知り、自意識による理性が自然や社会を制御する進歩であった。理性によって現在を疑うことで進歩は成し遂げられる。 世界的に右傾化している現在をカーなら皮肉的に嘆いてるかな、それでも世界は動く、と。
  • 2025年10月16日
    テスカトリポカ
    おもろすぎ。貪るように夢中で読んだ。 悪党の生い立ちから犯罪組織の結成、犯罪システムの構築、組織の崩壊までを描いた、超エンタメクライム小説。 弱者も善良な人も暴力も、資本主義に巻き込まれる資本主義の果てしなさが恐ろしい。 そんな資本主義すら覆うように根を張り原動力になってるのが信仰。資本主義と信仰が裏表の関係で、お互いの言い訳のように存在するけど、真の信仰に出会ったコシモはそんな負の関係から抜け出したようで心打たれる。
  • 2025年10月9日
    アボカドの種
    むっちゃ良かった。 歌集って初めて読むけど(筒井康隆のカラダ記念日は読んだことある)、連作になることでより実体が沸き立って、歌の暮らしの中に吸い込まれる感覚だった。 2020年から2023年まで詠まれた歌をまとめたもので、当然そこにはコロナや東京五輪が登場する。大きなニュースと同時に存在する市井の生活、空気が、こうやって記録されていくことに感動した。
  • 2025年10月8日
    季刊日記 創刊号
    季刊日記 創刊号
  • 2025年10月7日
    他人の顔
    他人の顔
    超おもしれー。 顔の効果とか拘束、自由、自我、欲望、他者、孤独、主人公の堂々巡りの思考、哲学、が長々と書かれてて、それ読んでるだけで面白いんだけど、妻の手紙がさらに面白い「尻尾をくわえた蛇のような長ったらしい告白を書いただけです」この一刀両断、そんな殺生な。 途中挟まった、仮面が大量生産された世界の空想話も、それだけでSF短編として充分面白い。まさに今ってSNSで誰もが覆面を手に入れた世界だ。 みんな人間関係は希薄で一方通行の会話をしてる。 「愛というものは、互いに仮面を剥がしっこすることで、そのためにも、愛する者のために、仮面をかぶる努力をしなければならないのだと。仮面がなければ、それを剥がすたのしみもないわけですからね。お分かりでしょうか、この意味が。」
  • 2025年10月1日
    君のクイズ
    『HUNTER×HUNTER』であらゆる記憶が駆け巡ったウェルフィンが「コムギ?」って正解に辿り着くシーンを思い出した。
  • 2025年9月27日
    一九八四年新訳版
    一九八四年新訳版
    案外エンタメで、主人公は反乱勢力と合流して革命を目指したりすんのかなーと思ったけど全くそんな事無かった。ただ物語の圧が凄いからぐんぐん読めちゃう。 今後ことある毎に、あっ俺今〈二重思考〉してんなーとか考えちゃうだろうな。 トマスピンチョンの20ページ以上ある解説も満足度が高い。ここまで読み応えのある解説は初めてだ。
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