にっかり青江 "凜として弓を引く" 2026年3月26日

凜として弓を引く
弓道に興味があったので、書店でなんとなく手に取った本書。内容はほとんど知らず、「爽やかな部活ものかな」と軽い気持ちで読み始めた。  予想に反して、社会人が多く所属する弓道会を舞台にした物語で、そこがとてもいい味を出していた。世代も立場も熱量もバラバラな人たちが、弓道を通じて緩やかに繋がっている。  そんな環境の中で、高校生の主人公は大人たちとの距離感に戸惑いながら、少しずつ前へ進んでいく。意見を言うことすら気後れしてしまう様子は、「若い頃は自分もそうだったな」と素直に共感できた。また、そんな主人公を理解し、そっと背中を押してくれるまわりの大人たちにも、自分が大人になった今は共感できる。  勝利や団結を熱く描くような話ではないけれど、等身大の高校生の心情が丁寧に描かれていて、昔の自分の経験をふと思い出させてくれる。読み終わったあと、穏やかな気持ちになれる一冊だった。
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