
ユメ
@yumeticmode
2026年2月27日
エデンの裏庭
吉田篤弘
読み終わった
感想
「物語の舞台袖」と名付けられた、創作と書評のミックスされたパートと、「エデンの裏庭」という小説のパート、二部構成からなる本。吉田篤弘さんの本というものや物語というものに対する深い愛情が伝わってきて、私も自分が子どもだった頃の読書の思い出を振り返りながら楽しく読んだ。
本書では『不思議の国のアリス』『ガリヴァー旅行記』『星の王子さま』『モモ』という四作の児童文学が取り上げられているが、刊行記念のトークショーで伺ったお話によると、これらは岩波少年文庫の代表的な作品の中から選ばれたそうだ。また、本書の手にしっくりと馴染む判型も岩波少年文庫に準じているそうで、篤弘さんと岩波少年文庫双方のファンである私にとって大切な一冊となった。
「物語の舞台袖」という考え方は、非常に篤弘さんらしいなと思う。というのも、私は『小さな男*静かな声』という作品の「そして、人生はつづいてゆく」という言葉がとても好きで、篤弘さんの紡ぐすべての物語に対して、この言葉を巻末に置いたらしっくりくるような余韻の残り方を感じているからだ。本という形で切り取られた物語が終わっても、登場人物たちの人生は続いてゆく。当然、本が始まる前の物語もある。篤弘さんの小説からはいつもそのことが伝わってきて、温かな気持ちになる(もちろん、「エデンの裏庭」も例外ではない)。だからこそ、「物語の舞台袖」を覗きにいこうとする本書の試みを、とても愉快な思いで読んだ。


