タナカ "絞首商會" 2026年3月27日

タナカ
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@tnk
2026年3月27日
絞首商會
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夕木春央
この質感で人間を描く人が『方舟』『十戒』を書いたのかと思ったら興奮を禁じえないですね……。同時に納得感もある、かも……。 トリックや展開というよりも(もちろんそちらも大変面白かったのだが)、人の描き方が丁寧で誠実でそれだけでもう読んでいていてずっと心地良かった。僕は本作の探偵役や助手、依頼人のような気持ちの良い人間が好きだ。 嘘つきが嫌いだという人間はこうあってほしいよな……としみじみ思ったし、つい最近に嘘嫌いの探偵が出てくる作品を読んで不満を募らせていたので比較してしまった。いやそちらの作品は、探偵が若いからという免罪符もなくはないのだけれど……。 蓮野の人間嫌いの塩梅がマジで好きだな〜…。 傍にいる井口に対する時と、そうでない時との配慮のさじ加減が絶妙。配慮のスイッチ切ったな〜がわかるんだけど雑さがあからさま?でなくて、なんというか……上品なラフさでとても良い。 例えば、水上さんが昼食にとサンドイッチを差し入れる提案をしたり、依頼報酬を持ってきた際に蓮野が、自分は要らないけれど井口くんに、と勧めるの、たぶん井口くん相手じゃなかったら絶対やらないじゃんね。率先して関わってる人物を差し置いて同席してる助手自らが「そんなら頂きますね」ってまずならないだろうし、蓮野はそれをわからない人ではない。そもそも「そんなら頂きますね」って人を蓮野は自分の傍にいさせないと思うし……。だから、「井口くんに」と井口の目の前で井口への配慮スイッチオフで勧める仕草に、彼への気の置けなさがすごく表れてる気がしてす〜ごい興奮した。 あとどうでもいいけどそんな井口くんが所帯を持っているのも好き好きポイントです。人物設定・描写のバランス感覚がめちゃくちゃ自分好みだった。
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