のぐち "語るに足る、ささやかな人生" 2026年3月26日

のぐち
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@knoguchi
2026年3月26日
語るに足る、ささやかな人生
確かに毎日そのものは単調だ。しかしその単調な生き方を支えるための理由が明確にあり、人と人とのつながりが、単調さを帳消しにするような張り合いを与えていた。テレビや映画やその他数多くの娯楽が人から何かを奪い取り、その後に残された空漠とした虚しさのようなものの方が、よほど単調でしかも底のない不気味なものなのではないかと思った。そしてその底なしの心の穴には、暴力や苛立ちが音もなく入りこんでくるのだ 139 僕は思うのだけれど個人主義にとって必要な責任というのは、人間関係のなかにおいてこそ発生するものなんです。このブルックリンは典型的なスモールタウンですから、誰もが誰もを知っている。これは関係を学ぶ上で重要だね 208 人生がひとつの物語だとしたら・・・・・つまり人生という不確かなものが、物語として紡がれることによってようやく意味や形状を得るものだとしたら、その物語は記憶によって構成されている。 そのときはただの出来事でしかなかったことが、ある日ふと心に蘇って、そこには何かしら意味があるように映る。それは物語の匂いだ。胸のなかの熱るべきところに収まっていた記憶が時間を経て発酵をして、そして然るべき時間を自分で選んで表層に浮上してくる。それを人は人生の感触として受け取り、さまざまな過去を生きてきた遠近法を描く。そのようなものがひとつひとつ、あやふやな自分の支えとなっていく。 あるいはそれは、旅とも似ているかもしれない。旅のさなかにその旅を実感する人は、あまりいないのではないかと僕は思う。それよりも自分のしていることの無益さや愚かさに気づいて茫然とし、その旅について語る内容も意味も何も実感できない。動き始めてしまったから、それの終点まで完結してみせるだけだ。 270
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