紫嶋 "女二人のニューギニア" 2026年3月28日

紫嶋
紫嶋
@09sjm
2026年3月28日
女二人のニューギニア
ある種の無謀さと軽率さで、文化人類学者の友人に誘われるままニューギニアへ行って〝しまった〟筆者の、ドタバタ現地滞在記。 西洋文化(あえて文明とは書かないでおく)がようやく一部の地に届き始めたばかりの当時のニューギニアの、未開の山奥に暮らす部族の様子が書かれているという点では貴重かもしれない。 とはいえ筆者自身は決して積極的に記録するために足を運んだわけではなく、右も左も分からないまま行き、なし崩し的にそこで短期間生活をしていただけなので、文化誌ほどの精密さはない。 あくまでそこでの生活を体験した人の生の声、苦労話や笑い話の思い出という体裁である。 お二人は友人同士ということだが、そういう世代なのか、はたまたこれも本人たちの仲の良さなのか、双方なかなかに歯に衣着せぬ物言いであったり、過酷な環境のせいか気性の癖が強かったりの印象。 他人事として読む分には、面白いやり取りだなーで済むのかもしれないが、実際交流を持て、一緒に生活してみろと言われたら「いや、キツいっす笑」とご遠慮したくなる気持ちが正直あった。 現代に生きる人間の目から見て、半ば興味深く、半ば不愉快でもあったのは、「自分は差別には反対だ!」と意識的に述べている筆者が現地民に向ける眼差しの中に、明らかに無自覚の差別意識が見え隠れすること。それは、彼らを研究対象として現地に住み込んでいる文化人類学者のご友人もまた然り。 これが当時の意識のあり方だったのだろうなという発見や呆れを覚えるとともに、ならば現代人の意識は少しは進歩しているのだろうか…していたらいいな…と願いたくなった。
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