K野 "逃亡者は北へ向かう" 2026年3月29日

K野
K野
@knocano
2026年3月29日
逃亡者は北へ向かう
柚月さんの未読作だというだけで予約していたので内容を把握していなかったのですが、タイトルでサスペンスと思い込んでいたらがっつり震災の話でした。 震災後に起きた殺人事件を追う刑事と犯人、そして何故か犯人と行動を共にする子供の父の三つの視点から語られる震災直後数日間の話。 災害や被災者の描写がかなり詳細で気持ちがざわざわしたのですが、柚月さん自身が震災で実家とご家族を亡くしていると知り、腑に落ちたと共にかなり大きな覚悟で書かれた作品だと知れた。 どうなるのか…というよりどうにかならないのかと祈るような思いで一気に読み、正直読後は心の置き所が見つからずに作者インタビューを探したりもしたが、読者に委ねるという意味合いのことが語られていて更に自分の中の消化に時間がかかった。 家や家族を無くすというあまりに大きな喪失でありながら、根幹は変わらない、ということなのかな…というのが一つ残った感想だった。 刑事は事件を追い続けるし、震災に紛れて別人になれるわけでもない。 作品の後半である登場人物が言うように生きることを続けていくのか…と。 少なくとも外から納得できる答えを求める事ではないのだと感じた。
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