逃亡者は北へ向かう

22件の記録
- yomitaos@chsy71882025年7月26日読み終わった@ 自宅生まれてこの方、ずっと何かを奪われ続けているような、のんべんだらりとした憂鬱を感じていた。あの震災があったとき、また奪われるのかと唖然としたし、惨事便乗型資本主義を始めてさらに奪い取ろうとしてくる「お偉いさん」の姿を見て、奪われる側はずっと奪われる側のままなんだろうかと悲嘆にくれた。 この小説には勝者がいない。カタルシスもない。だれも救われない。逃亡劇というエンターテイメントはあるが、ずっと陰鬱な気持ちで犯人を追い続けることになる。 それでもこの本を読むべきだと思うのは、希望があるから。今ここにあるものじゃなくて、これから先にある「はず」の、希望。人は希望があるなら生きていける。それを、この終わりかけの日本という国でも感じられる。それがこの本の最大の価値だと思った。
- はぐらうり@hagurauri-books2025年4月15日読み終わった震災直後に起こった事件をめぐる、哀しい人間ドラマ。ボタンをいくつも掛け違えてしまった結果、不条理にも思える(というか明らかに不条理)、だけれど起こっていてもおかしくない物語。忘れていたけれど、プロローグから結末はわかっていたのだな。 タイトルはなにか込められた思いがあるのかな。表面しか見えていないが、2011年から「北」に新たな意味合いが込められてしまったので、その類の思いかもしれない。
- りりり@rin__39162025年4月1日読み終わった借りてきた@ 自宅こんなにも不運な人がいるんだろうか… なんかもう不便に思えてしかたなかった。 東日本大震災の描写もものすごくリアル。 脳裏に映像として浮かんでくる… プロローグで分かっていたラスト。 流れを知った上で読んで迎えるラストは また感じ方が変わる。泣いた。
- 川内イオ@iokawauchi2025年3月9日読み終わった東日本大地震前後に起きた事件を描く小説。震災直後の混乱期、運命の悪戯というか、ボタンのかけ違いというか、主人公のように歯車が狂ってなにもかも望まな方向に進んでしまった人生もあったのかもしれない。そういう人生は誰にも語られず、語られたとしても表にはならず、歴史に埋もれていくのかな。