あざらしシンイチ "検証 ナチスは「良いこと」も..." 2026年3月29日

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?
最近ナチズムの話が会話の中で出てきたが、ナチスドイツのことよく知らないなと思い、Audibleで聴いてみた。基本的なところはこの本で十分押さえられると感じたので、かなりコスパの良い本だと思う。(一番知りたかったのはブロック経済と経済ナショナリズム的な政策なので、それはあんまり知れなかったが) そもそも「良いこともしたのか」は存在命題なので、厳密に検証することは難しい。岩波ブックレットの紙幅で行なうことは不可能で、このタイトルはあくまでレトリカルなものと捉えるのが妥当だろう。ナチスドイツが行なった一見すると「良い」とされる政策は「悪い」意図や思想と表裏一体であり、素朴にそれを見習えということの危険性を指摘している。 例えばナチスドイツの家族政策は優生学的な思想と表裏一体であり、優秀なアーリヤ民族の子を増やそうとしているだけで、他の"民族"や障害者はその恩恵にあずかれないどころか、断種させられたり虐殺されたりしているし、女性を家庭に閉じ込めようともしていた。もちろんこうした考え方や政策はおそらく同時代の他の国々でも見られたことだろうから、とりわけてナチスを悪とは見做せないなどと主張する人も居るのだろうが、少なくとも子育て支援を拡充しろと主張するためにナチスドイツを取り上げるのはあまりにもナイーブだし、如何に筋が悪いレトリックなのかはわかるだろう。
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