羽毛 "語るに足る、ささやかな人生" 2026年3月29日

羽毛
@feather
2026年3月29日
語るに足る、ささやかな人生
ニューヨークからロサンゼルスへ。 一台の車が走り抜けるアメリカ横断の紀行文集。開拓期の古き良きアメリカの面影が重なるスモールタウンで暮らす市井の人々の人生を短編のように紡いでいく。時代の喧騒から取り残された田舎町に住み、小さな声音でとつとつと語る人生譚に耳を澄ませる。旅人である著者がそれぞれの街で出会った人たちに丁寧にインタビューを重ねて綴った体温の宿るエピソードが集められている。 力が正義といわんばかりの無法者ぶりがより目に余ってきた21世紀のアメリカ。居丈高に略奪行為を繰り返し、声高に雄叫びつつも、自称世界のリーダーから転落し続けているように感じるのは私だけだろうか? ICEの人権侵害や国際法を無視したイラン戦争へのフラストレーションも爆発し、トランプ大統領の支持率が過去最低を記録。「No Kings」(王はいらない)抗議デモが全米各地で記録的な規模で開催された日に読了できてよかった。 それは今にはじまった横暴ではなく、開国前の入植の略奪から度重なる戦争まで、アメリカが行ってきた行為の本質は変わっていないのかもしれない。けれどもこの国に暮らす人々がすべて悪人なはずもなく、実際に醜悪な国へと貶めてきたのは、国民を狡猾に騙してのしあがった一握りの権力者たちとその時々に栄えていた富裕層であることを自ずと浮かびあがらせる一冊。 新装版の単行本の表紙かわいいですね。 私は小学館の文庫版で読みました。
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