にっかり青江 "ババヤガの夜" 2026年3月30日

ババヤガの夜
日本人初のダガー賞受賞作と聞いて、ミステリー好きとしてつい手に取ってしまった。 私はミステリー小説を読むとき、なるべく前情報を入れずに読むようにしているので、今回もあえて何も調べずに入った。 作者のインタビューを少し見た程度で、LGBTQ+に関わる要素があることは薄々知っていたが、読んでみるとその部分は予想以上に自然に織り込まれていた。 昨今のアメリカドラマなどでよく見られるような、価値観の強引な押しつけや説教くささは一切なく、ごく日常的な描写として溶け込んでいた。 「ここがそうなんだな」と気づく箇所は確かにあったが、違和感はまるでなく、すっと腑に落ちるような書き方だった。 冒頭からスピード感のある展開と、生々しく目を背けたくなるような暴力描写が続き、「シスターバイオレンス・アクション」という帯の言葉に偽りなしという印象で、一気に物語の世界に引きずり込まれた。 面白さの勢いのまま後半まで一気に読んだが、中盤あたりでふと「これは確かに面白いけど、ミステリーとしてどうなんだろう?」という疑問が頭をよぎった。 しかし、最後まで読むとしっかりミステリーの要素も詰まっており、思わず「えっ!」と声が出るような展開もあって満足した。 未読の方には、ぜひネタバレを一切見ずにこの世界に浸ってほしい。 特に、雨の降る夜に一人で静かに読むと、没入感が格段に高まっておすすめです。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved