
ともろう
@tomororz
2026年3月31日
ケアと編集
白石正明
かつて読んだ
この本で紹介されている向谷地生良が女子学生からの「信じることの大切さはよくわかりました。でも信じる信じるといっても、信じられる根拠がないときはどうするんですか?」と質問された時の答えが感動的なので引用しておく。
「皆さんの「信じる」「尊重する」とすこし違うのは、わたしたちはあまりそれをきまじめに使っていないということですね。「信じる」「尊重する」というとき大切なのは、もうやけくそにーーやけくそで信じるとか、やけくそで尊重するとか、いいかげんに尊重する、いいかげんに信じる、口先だけで信じる、口先だけで尊重する、そうしてしまうことです。(……)言ってしまえば勝ちと、そういうラフな感覚で、わたしたちは信じていますし、尊重しています。実際のところ、そのほうがいいのではないか。誰のポケットにでも入っていて、ハイとすぐにわたせるくらいのほうが、あまり美しい物語にしないと言うのが、浦河の伝統なんですね。ぜひ試してみてください(笑)。
また、白石が中井久夫『こんなとき私はどうしてきたか』を作っていたころ、「そのころはよく中井先生のお宅に朝からお邪魔して、お昼にはお手製のそうめんやスパゲティなどをいただいた。中井先生によれば料理も「生活の政治学」の一環である。政治って何ですかと聞くと「殺さないことだよ」と言われた。」
「叶うことはなかったが、わたしはこの政治学についての卓見も含めて、『普通の生活』という本の企画を考えていた。具体的には、精神科を退院した当事者に、中井先生が自分の料理の仕方、住居についての考え方などを伝えるものである。
見せていいただいた料理のレシピは中井先生らしく「時間の流れ」がベースになっていた。一枚の紙に複数の時間軸とイラストが組み込まれ、最後にそれらが合流して夕餉の出来上がり。病院の普通に合わせた生活から、自分の普通をつくっていくことのむずかしさを中井先生はしばしば口にされていた。」(220頁)
『普通の生活』、読みたかったなぁ。






