mikiko1732 "ベルリンは晴れているか" 2026年3月21日

mikiko1732
@mikiko1732
2026年3月21日
ベルリンは晴れているか
「戦場のコックたち」を読んだとき、日本にもこういう物語を書く作家が出てきたんだと大変驚いた記憶がある。 今回は第二次大戦終了直後のドイツ、ベルリンを舞台にドイツ人の音楽家が殺されるところから物語は始まる。主人公は以前、その音楽家とその妻に世話になったことから音楽家殺しの嫌疑をかけられ、その嫌疑を晴らすためにも、その音楽家の甥を探すことになる。 甥を探してロードムービーのように綴られる物語。 道中語られる登場人物それぞれの過去。戦争と深く結びついたそれらは終戦とともに解決することも消化されることもなく、戦後の混乱の中、彼らはそれらを抱えて生きていこうともがいている。 何が罪で、何が罪でないのか。 自分は罪を犯したのか、犯していないのか。 はっきりと明快に答えられることは少なく、そこに描かれるのは生きていこうとする人々とこれから生きていくために最後の矜持を守り抜こうとする人々だ。 イスラエルの建国を謳う横断幕を見たユダヤ人の祖母を持つ登場人物のひとりが言う。 「だって、民族主義が俺に何をしてくれた? あんなクソを他人に味わわせたいと思わないね。俺たちだからこそやっちゃいけねえよ」 正直、ミステリとしては弱いなと思う。 ただ戦争を描いた小説としては秀逸だと思う。 現在につながる物語として、今読まれるべきだと思いました。
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