
読書猫
@bookcat
2026年4月1日

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫 Aフ 2-1)
ディーノ・ブッツァーティ,
関口英子
読み終わった
(本文抜粋)
”望まない者にとって、神の存在ほど重い荷物はなかった。“
(「神を見た犬」より)
”幸せかって? いや、これっぽっちも幸せではなかった。だが、彼の胸の奥底には、つかみどころのない、なにかすばらしいものがあった。思い出と予感が一緒くたになったような感覚……。それが、まるではるか彼方の地平線で光る灯火のように、彼を呼んでいた。あそこに幸せがあるのだ。魂の平穏も、愛の成就も、あそこにある。その呼び声こそが人生であり、そこに到達するためになら、苦しみに耐えるだけの価値があった。だが、はたして到達できるのだろうか。“
(「天国からの脱落」より)
”「……きみをはじめとする何人もの作家が、じっさいには存在しない物語を書くことに人生を費やし、それをごていねいに刊行する出版社があって、買う人間がいる。それで、きみらががっぽり儲かるだけでなく、新聞でも騒がれ、さらに批評家たちが作品について、ああでもないこうでもないと議論をぶち、評論まで出版され、巷の話題をさらう。どれもこれもまったくの作り話だというのに。原子爆弾やスプートニクが世の中を騒がせている現代において、まさしく常軌を逸しているとは思わんか? こんな茶番が、そう長く続くわけがない」“
(「マジシャン」より)