
ジクロロ
@jirowcrew
2026年4月2日
漱石日記
夏目漱石,
平岡敏夫
読み終わった
今でもうちの下女はこのひーひー(という歯を鳴らす音)をやめない。しかも妻君のいない時を択んで最も多くやる。これは妻の命令とも取れるし、また妻がいないから遠慮が要らないという意味にも解せられる。果して前者とすれば妻はけしからん、果して後者とすれば彼ら下女は主人を馬鹿にして妻だけを尊敬している事になる。この外にも自分の不愉快な事を露骨にやる時はきっと妻のいない時を択ぶ。妻はそれで自分の責任を免がれたつもりであろうか、果してそうだとすれば妻ほど浅はかな興のさめた女はない。
(1914年11月9日(月))
妻との会話における苛立ちから始まるこの日の長い長い日記は、まるでカフカの『判決』の現実路線。
ままならない周縁が、芋蔓式に出てきては絡まりゆく(漱石)にとっての不条理どもが、漱石の神経を障り続けて止まない。
読んでいるこちらもどうにかなりそう。
