村崎 "いい子のあくび" 2023年7月22日

村崎
@mrskntk
2023年7月22日
いい子のあくび
歩きスマホをしている人はぶつかる相手を選んでいる。一瞬だけ顔を上げて、ぶつかってもいいと思う相手ならそのまま歩く。そんな人たちをよけて「あげる」直子。割に合わない。だから「よけない」ことにした直子だけど、よけないことで起こるさまざまな悪意、現象があまりに理不尽すぎて、ぞわっとしました。 普段口には出さないこと、あえて言語化してこなかったこと、でも確実に自分のなかに積もっていた違和感や不満を高瀬隼子さんはおそろしく見事に描いています。 割に合わないことが本当に多すぎる。スペースの狭い「くだり」の階段をわざわざのぼってくる人を正しくくだっている私がよける。満員電車の出入り口に立って頑なに動かない人のために乗降が滞る。いったんホームに出たら並んでいる人がドアのぎりぎりに立っているから最後尾になりナチュラルに抜かされる。頑なにホームに降りなかった人が悠々と開いた席に座ってる。スマホをみながらのろのろ歩いている人の足を踏んでしまって舌打ちをされる。そういうやつら全員にぶつかってやりたいし、前見て歩けと怒鳴りたいし道をあけろと説教したい。 でもそれができずにあくびをかみ殺しているので、スマホ歩きをしている人は全員この作品を読んでください。
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