いちのべ "貧乏サヴァラン" 2026年4月3日

いちのべ
いちのべ
@ichinobe3
2026年4月3日
貧乏サヴァラン
貧乏サヴァラン
早川暢子,
森茉莉
冒頭の『貧乏サヴァラン』20ページ足らずでも濃密な森茉莉を浴びた気持ちになってしまう。 話があちこち横道に逸れたり、逐一好みについて挟んだり、途中「いま何の話してたんだっけ?」と見失う感覚は会話のようで。 > まず今なら、ジャーの蓋を開けて、北極を空想するような角砂糖氷の堆積の中から(角砂糖氷だから犀星の詩の氷のようにみしみし張りつめてはいない)——われはジャーに満ちた氷を愛す——マヨネエズの壜を出し、鎌倉ハムを出し、牛酪を出し、固茹で卵を出し、薔薇色がかった朱色の玲瓏珠の如きトマト (les tomates vermeilles)を二つ出し(赤いこしまきの如き赤のはきらいである)、(後略)(p19-20) この調子で3ページにまたがって朝食の説明をするくだり、「薔薇色がかった朱色の玲瓏珠の如きトマト (les tomates vermeilles)」で崩れ落ちそうになった。トマトがこんなにも豪奢に表現されている文章を生まれて初めて読んだ。凄すぎるし面白すぎる。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved