
しをに
@remnkkswn60306
2025年3月16日

ハンチバック
市川沙央
読み始めた
読み終わった
紙の本を憎む、というフレーズが鮮烈に残る一方で、これ憎しみの話ではないよなぁと思ったりした。涅槃。凪にすら見える場所。憎しみという育ちゆく何かというよりは、一度どこかに到達した上での何か。摩擦を求めるということ。「死にかけてまでやることかよ」という、あの温度について考える。見下し合うような否定し合うようなあの場で、それでもなぜかこの小説中では彼だけが血肉を持つ息づいた人間にも見えた。だからそれが摩擦なのか、いやほんな良いもの(良いものかな?)でもないのか。その距離は本当に憐れみだけなのか、到達できない場所が涅槃なのか。
最後のくだりは好みが分かれそうだなと思ったし、私は無い方が好きだった気がするけど、ある方がらしい気もした。装丁の色味が好きだ。

