みーる
@Lt0616pv
2026年4月2日
読み終わった
借りてきた
今の自分には眩し過ぎる…そんな小説だった。
あまりにハートフルで優しい登場人物。それ故に物語に入り込めなかったのかもしれない。
本の製本を専門に行う「ルリユール工房」の出会いを通して、まふみが自身の過去を受け入れながら未来へ一歩踏み出す。そんな展開を予想していたが、ややズレがあったように感じた。
南魚庵さんや親方、そして由良子、店長の村上さんなどさまざまなキャラクターにスポットライトを当てる展開でその繋がりが「本」だった。
まふみ自身の悩みや葛藤は関わる登場人物に対するものがほとんどで、自分自身に関することは二の次な印象。主人公であるまふみの内面の成長を期待した分、感情移入ができなかった。六法全書をルリユールすることで過去の自分にケジメをつけたのはわかるのだが、そこの描かれ方があまりにも淡白で、「え、それで終わり?」と拍子抜けしてしまった。挙げ句の果てには、村上さんの好きだった本と死別した婚約者が好きだった本の結婚式というなんとも言えないメルヘンな展開で締めくくられる。一体何を見せられているのだろう…とそう感じずにはいられない…
おまけに教員のステレオタイプな描き方も気になった。今どきあんな教員いないよ…
よかったところを挙げるとするならば、由良子の「相貌失認」という障害で伏線が一気に回収されるところ。誰も予想できない角度からいきなり差してくる。「相貌失認」は初めて聞いたが、確かに人の顔の区別がつかないのは辛い。まふみの司法試験を諦めることよりも由良子が外へ出たことの方が心が動いた。
長編小説ではなく、章ごとに登場人物にスポットライトを当て、ルリユール工房を通して自分の気持ちを綴じていく展開にすればよかったと思う。
タイトルは素敵で思わず口に出したくなるし装丁も綺麗。登場人物に悪い人はいないし読んでいて心温まる小説ではあったが、登場人物に立体感がなくメルヘンな展開で物語との距離が遠のいてしまった。