
碧の書架
@Vimy
2025年3月17日

テスカトリポカ
佐藤究
読み終わった
表紙やタイトルから受けた印象は民俗学系でしたが、ノワール小説、ギャング小説でした。どっちも好きなので楽しく(?)読めましたw
めでたしめでたしで完結するような起承転結がはっきりしたストーリー構成ではなく、人生の一部分を覗き見したらこんな感じに切り取れそう、って思います。
始終獰猛な空気を感じる話で、暴威が突然襲い来る嵐のように現れます。その抗えなさ、抜け出せなさが、テスカトリポカという神で表現されているように感じました。
自然現象のごとく当たり前に展開していく暴力と闇取引ですが、この中ではそれが当たり前過ぎてハラハラしません…逆に静謐な気すらします…w気温高そうだなーっていう熱は感じるのに不思議w
グロくはないし、ホラーでもないし、最後は蟻地獄から見えた陽射しのような光を感じられて、私は好きでした。ただ、好みが分かれそうな本ですね…w
帯に書かれた宮部みゆきさんの「直木賞の長い歴史の中に燦然と輝く黒い太陽」という文がピッタリでした。



