
春野
@Haruno_65
2026年4月5日

駈込み訴え
太宰治
読み終わった
青空文庫
キリストの弟子のユダの一方的な語りで進んでいく文章が面白かった。キリストに対する親愛、嫉妬、嫌悪、憎悪といった様々な感情が語られ、ユダが「裏切り者のユダ」となる過程を目の前で見ていくような物語だった。
最後の方に出てくる小鳥は、おそらくキリストの象徴なのだと思う。「夜中にさえずる小鳥の正体を見たい(好奇心)」→「小鳥の声がうるさい(鬱陶しい)」と小鳥に対する評価が変化しているのは、キリストに対するユダの気持ちの変化の暗喩になっていて面白かった。
しかし、「私は、ちっとも泣いてやしない。私は、あの人を愛していない。はじめから、みじんも愛していなかった。」と語る様子は自分に暗示をかけているように見えた。その後、様子がコロッと変わっているので、無理矢理そういう人間になろうとしているような感じがした。
『マタイ福音書』によると、ユダはその後、後悔して自殺しているため、その心の揺れや不安定さがここで表現されているのかなと思った。
情景描写に注目することでユダの心の動きを読み取ることができてとても面白かった!!

