
いちのべ
@ichinobe3
2026年4月5日
読み始めた
『本陣殺人事件』読了。
金田一耕助の初登場作品ということで、本編が始まる前から、この先の展開を期待させるような文章が重ねられていてニコニコしてしまう。
> 私は先ずルルーの「黄色の部屋」を思いうかべた。それからルブランの「虎の牙」や、ヴァンダインの「カナリヤ殺人事件」と「ケンネル殺人事件」や、ディクソン・カーの「プレーグ・コートの殺人」や、さてはまた密室の殺人の一種の変型であると思われるスカーレットの「エンジェル家の殺人」まで思いうかべた。
> 密室の殺人、紅殻色の部屋、そして琴の音、──いささか薬が効きすぎるほどのこの事件を、私が書きとめておかないとしたら、それこそ作家冥利につきるというものではないか。
ここで盛り上げた期待を裏切らない事件の展開と、鮮やかな推理が繰り広げられ、ラストまで夢中で読んだ。
(以下、ネタバレを含む)
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小学生の頃、学習マンガ的なもので本作のトリックの図解を見て、その装置の奇想天外さに度肝を抜かれたことを鮮明に記憶している。
先にトリックを知ってしまったために、実際に読む気は失せたまま歳月を重ね、「犯人は忘れたが、なんか、こう……琴糸を使ってなんかするやつだよな……」程度に細部があやふやになってきたため、今回読むことにした。
読み終えて思ったのは、小学生の時分に読んでいたら、動機や背景のグロテスクさを理解しきれず、楽しめなかったかもな、ということだった。何故このような事件が起こったのかという異様さ、この事件が「本陣」殺人事件と呼ばれるに相応しいことは、大人になった今だからこそ理解できるのかな、と。
> 探偵作家というものは、こういう物の書き方をするものであるということを、私はアガサ・クリスチー女史の「ロージャー・アクロイド殺し」から学んだのである。
最近、クリスティを読んでいるのでここも嬉しかった。