
読書猫
@bookcat
2025年3月16日
蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇
芥川龍之介
読み終わった
読み直した
(『トロッコ』抜粋)
“「登り路の方が好い、何時までも押させてくれるから」──良平はそんな事を考えながら、全身でトロッコを押すようにした。
蜜柑畑の間を登りつめると、急に線路は下りになった。縞のシャツを着ている男は、良平に「やい、乗れ」と云った。良平は直ぐに飛び乗った。トロッコは三人が乗り移ると同時に、蜜柑畑の匂を煽りながら、ひた辷(すべ)りに線路を走り出した。「押すよりも乗る方がずっと好い」──良平は羽織に風を孕ませながら、当たり前の事を考えた。「行きに押す所が多ければ、帰りに又乗る所が多い」──そうもまた考えたりした。”