もぐもぐ羊 "別れを告げない" 2026年4月5日

別れを告げない
別れを告げない
ハン・ガン,
斎藤真理子
読み終わってしまった。 後半は残りのこの紙幅で物語が終わるの?本当に?終わってしまうの?という気持ちになった。 この感触は久しぶりだ。 左手は残りの頁数を把握しているのに、物語が終わる気配を感じられないというか、もっと続いて欲しい、もっと知りたいことがあると思いながら読むのは。 第二章『夜』から過去についての語りの分量が増える。 済州4.3事件の詳細はそれを目の当たりにした人々の証言が生々しく、このような虐殺が起きる過程に何があったのか知らなくてはいけないと強く感じた。 またその後勃発する朝鮮戦争の時には大邱刑務所に移送された済州島民が虐殺されている。 虐殺の連鎖は同胞同士が思想を理由に確実な証拠もなく続いて途方もない人数が犠牲になった。 子どもや生まれたばかりの赤ん坊までも。 インソンが保管している資料のほとんどは母が集めた物を引き継いだもので、たまたま親戚の家にいたおかげで死を免れたものの姉以外の家族のほとんどを失った彼女は人生を賭してまで行方がわからないままの兄を探していたことをインソンは知らぬまま母の認知機能は衰え、そして死んでしまった。 読んでいて生きている者と死んでいる者の境が曖昧になっていき、今キョンハとインソンの身体は医学的に生きているのか?どこにあるのか?と思いながら、でもそんなことは重要なことではなく、二人が会話をしながら過去に起きた虐殺に向き合っている様子そのものが痛みとして伝わってきた。 キョンハのバックグラウンドについてわからずじまいだったけど、きっとそれは蛇足になっただろうなと、読了してから思う。 またこのような終わり方をしたことについてはタイトルを読めば納得がいく。 もう一度読みたいし、読んだ人と感想を言い合いたい。
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