
イネイネ
@ah-ineine3
2026年4月6日
黄色い家
川上未映子
読み終わった
@ 自宅
真っ直ぐに生きることができない人たち。犯罪にあたるようなことでも、やらなければならない。いつ手が後ろに回るようなことになるとしても、全て失うリスクがあるとしても。そうしなければ生きてはいけない。
中卒で家を出て身分を示すものが何もなくなってしまった花は、母親の友人・黄美子と一緒に営んでいたスナックを火事で失ってしまった事をきっかけに闇ブローカーのヴィヴィさんを紹介され犯罪に手を染めることになりました。
きっと他に選択肢もあったでしょう。同業者の知り合いもできたのだから頼み込んで雇ってもらうこともできた筈でした。しかし、あの時彼女には自分たちの【居場所】を守るためには出し子という仕事が最適だと思えたのでしょう。
第三者が見ればきっと主人公はグルーミングのような事をされていたのでしょう。20年後に電話で映水は「あいつ(黄美子)は報道されていたようなことはしてない」と言いましたが、ラッセンの絵を持ち上げて襖に差し込んで壊してしまうシーンを見ても自制できない暴力衝動のようなものはあった人なのじゃないかと…精神疾患もしくは発達障害、認知症の初期症状のようなものであったかもしれません。
私は、このような境遇に置かれる人達に福祉の手が及ぶ環境になれば良いのにと思わざるを得ませんでした。第三者が介入していれば彼女達も真っ当に生きていけたのかもしれない。職業に貴賎はないけれども、犯罪に加担しなきゃならなくなったとなれば話は変わってくる。
読了後に鼻の奥がツンと痛みましたし何とも胸が締め付けられるような気持ちになる一冊です。


