鷲津 "オーデュボンの祈り(新潮文庫..." 2026年4月6日

鷲津
鷲津
@Washizu_m
2026年4月6日
オーデュボンの祈り(新潮文庫)
伊坂幸太郎さんのデビュー作 確か何かの賞を取ったタイミングでこの本を知り、そこから私と伊坂さんの関係が始まります。『バイバイ、ブラックバード』が出るまでは、伊坂さんの作品で一番でした。今でもよく読み返します 人それぞれに読書の理由は異なると思いますが、私の場合、自身のバイオリズムを一定に保つ為の読書…そう思っている面があります。だからなのか、手持ちの本をよく読み返したりもしています リアルな日常は何かと面倒事も多く、些細なことで気持ちのブレが大きくなりがち。油断すると自分ではない何かの感情が襲ってきそうになります そんな気持ちにならないように、時々の心模様に合う本を手に取り、自分を取り戻す…そういうことの繰り返しかなぁ その意味で本棚は、私にとって大きな薬箱。今ではこんな時には、この本が効くと処方箋も分かって、手に取る本に迷いはありません。残念なのは、この薬箱、私にしか効きませんが 伊坂さんの良さは、その軽妙さ。絶妙と言えます 主人公がある日突然、非日常に迷いこみ、深刻に展開しますが、徐々に主人公は状況を楽しみ始め、各所でクスッとさせられる。登場する殺し屋さんも、揃いも揃ってどこか抜けていて憎めない存在。上手く表現出来ませんが、どこかホッとします 『伊坂幸太郎の処方箋』には、こう書かれています。「危機的な状況に効く』と。効能欄に「ガチガチに凝り固まった頭と身体がほぐれ、自分の原点に立ち戻り前を向ける筈」と無責任に書いてあります 結局、深刻な顔で悩んでみても、上手くいかない時は上手くいかない。ピンチな時ほど、笑みを絶やさず軽やかにステップするくらいが丁度いい…不思議と読後はそう思えてくるので、このお薬、確かに私にはよく効きます ここまで全く本の説明をしていませんでしたね。オススメしたい本なので、少しだけ紹介します 主人公は伊藤くん。後に「重力ピエロ」にも登場します。何故か彼コンビニ強盗をしますが、失敗して逃げます。逃げた先は仙台の「萩島」 最初、日本地図で探しました。伊坂さんの小説は、大抵の場合、場所は仙台ですが、街自体は架空の場所で実在しません でもその設定がいい感じに日常と非日常の橋渡しとなり、冒頭から伊坂ワールドに取り込まれます そして『オーデュボンの祈り』最重要人物「優午」...案山子です この案山子、普通ではありません。喋ります、そして未来が分かります。その優午がある日... この設定にハマりました。長編小説ですが、読み始めたら途中で止まらなくなります 音楽でも小説でも処女作は、作者が一番時間と熱意を注いだ作品ではないでしょうか この小説には伊坂さんのエッセンスが凝縮され、伊坂さんの原点を感じることが出来ます だからなのか、今でも薬箱の特等席にこの本が座っています
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