
ユルワ
@urusulayulwa
2026年4月6日
優しい地獄
イリナ・グリゴレ
読み終わった
タイトルを何を意味するのか、読み進めるうちにわかってくる。
そして読者もまたこの優しい地獄の中に囚われていることに気づく。
本作を日本語が堪能な研修者の日本論的エッセイだと思ったら大間違い。
今や消滅してしまった東欧的田園での自給自足暮らしと、共産主義崩壊後の重苦しい混沌のルーマニア社会を経験した著者が、美しくも残酷な幻想の中に読者を閉じ込めてしまうかのような、不思議な文体で綴られる純然たるエッセイなのだ。
次回作もすでに世に出ているらしい。やっと抜け出せた迷宮に再び挑みたくなってしまうのは、著者の文才のなせる技なのだろう。
他の国では当たり前だけど 、日本語を母語としない人物が日本語で才能を発揮する時代についになったのだな、と改めて思った。

