
いちのべ
@ichinobe3
2026年4月6日
八つ墓村 金田一耕助ファイル1
横溝正史
読み終わった
ちょっと気を抜くと次の殺人が起こるので驚きっぱなし、雑誌連載らしいテンポ感だった。
(以下ネタバレ含む)
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主人公の生存は冒頭でわかっているものの、終盤はハラハラドキドキで一気読みだった。閉鎖的な田舎で起こる殺人事件、くらいの予備知識しかなかったので、こんなスリルに満ちた冒険パートがあるとは思わなかった。
振り返ってみると、女性キャラクターが魅力的な作品だったな、と思う。
> 慎太郎のすぐ隣に、妹の典子が座っている。私はひとめその顔を見たときから、醜い女だときめてしまった。
当初こんなふうに描写されていた典子が、異様な殺人事件の中で、恋を知り、逢瀬を重ね、冒険を経て、気丈な女性へと成長していく姿が眩しかった。あまりにも身勝手で残虐な事件と比較して、余計に。
春代のいじらしい恋心も、読者には察せるかたちで描写されており、語り手の心細さを支えてくれる存在だから肩入れしてしまい、最期の場面はなんとも切ない気持ちになった。犯人との「相討ち」に持ち込めたのも、その想いの深さあってこそだよな……
序盤の美也子も、語り手にとって心強く魅力的な存在として描かれていたし、母親の鶴子も悲劇のヒロインとして印象深かった。
