
キキララ
@2929000
2026年4月7日

光のとこにいてね (文春文庫)
一穂ミチ
濃密な百合...。
ふたりの関係性が変わってく中で口に出すのは苗字になっても、こころのなかではゆづちゃん、かのんちゃんと呼びあっているのがいじらしくて切なかった。
互いをどれだけ必要としているか、どれだけ相手を尊重してあげたいか...。
それなのに2人を遠ざけることは無限にあって、叶わない願いと知りつつも望んでしまう2人の、あつく焼けるような思いが呼び方にこもっている感じがした。
そして2人を取り巻く雨や潮や光の描写が素敵。
ほんとうに匂いたつような巧さで息苦しかった。
居た堪れない、はやるような気持ちにさせられる。
恋愛とは別の局面では、
子供ながらに自分の母親はどこかおかしいと思っているけれど、そのおかしいを受け入れるしかなくそんな母親からでも好かれたいし嫌いになれないという、子供の満たされなさも印象的だった。
どうして?と訊ける大人になっても欲しかった言葉は返してくれないから期待する自分を諦めるしかなくて......。
でも諦めて受け入れるんじゃなくて、諦めて私が解き放たれるに変われてたのが、精神的に大人になれたなと思ったり。
あとはこの単行本で唯一、隣人のお姉さんの語りで紡がれる掌編もすごく良かった。
青い雛が正しく飛び立つのを見届ける、置いてかれる側の独白は、リズと青い鳥と似ているけど、それよりも物悲しさがあって、それをお姉さんのあっけらかんとした直截な物言いで語られるさまが、かっこいい表面の裏にある哀しみが透けてくるから逆にとっても弱々しく見えて、
お姉さんがこの哀しみや昼夜逆転の生活から抜け出すことはできなくとも、せめて飛び立った青い鳥を想うことがこころよい青空を見る代わりになったらいいなと願ってしまった。
ほんとうに読んで良かった本









