ねむねむひつじ "世界でいちばん透きとおった物..." 2026年4月7日

世界でいちばん透きとおった物語
読み始めた時に妙な違和感、縦読みが隠れている文章のような、そういうわざとらしさを水で薄めたような小さな違和感を覚えたんだけど、正体はこれかあーーーーーーーー!!! 本当に最後まで「透き通っている本」だった。小説でもなく「本」。本だ。 升目の話が出てきた時に、実際に本の文字数を数えてみれば分かったのかコレ。数えてみたら本当にそこで文章が終わってた。 紙の本でしかできないギミック面白! 映像化不可能、翻訳は……超絶手間がかかるけどできるか一応。 この「透き通る」どんでん返しでクズ父親像にも新たな一面が「透き通って」見えてくる。それでも数々の女性に手を出す、「本を読まないやつは頭が悪い」というクズ発言、諸々が反転するわけでもない。 が、子供を堕胎しかけたことを気に病んでいたのはたしかな事実だ。 世間で持て囃されていたカリスマミステリ作家も、堕胎の段になると怖気づくし、勝手に課した制約ゆえに書き上げられなかったりする。常にカリスマの面を被りつづけられる人なんていない。人間というのは複雑だ。 これもまた「子供には見えないもの」だし「おとなになってから」じゃないと分からない。 子供を卒業して大人になったばかりの(あるいは大人にならざるを得なかった)主人公がギリギリ飲み込めるが、消化はまだ無理かも……ぐらいの絶妙なもどかしさが残る作品。 もどかしいといっても不快な感じではなく、大人になった主人公がこれから消化して栄養にしていくんだろうな、という晴れやかな予感がある。だから読後感は爽やかで気持ちがいい。表紙に描かれている通り、3月から4月あたりに読むと雰囲気バッチリ。本当に今読んで良かった。 (3月の桜が綻び始めた頃に電車でちびびちび読んでいて、桜が咲いている今読み終わったので、作中の時間の流れと奇跡的に合致していた)
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