阿部義彦 "デッドエンドで宝探し" 2026年4月8日

デッドエンドで宝探し
能町みね子さんは、エッセイを昔よく呼んだし、『雑誌の人格』は大好きなコラムでした。さてそんな能町みね子さんは夏の間だけ、青森に住んでいるのでした。そこで何かとネガティブな印象の多い青森を紹介します。この本トランスビュー経由で入ってまして、置いてる本屋限られてます。何よりインディペンデントな出版社名が、hayaoki booksと言うのが洒落てます。似たような事は都築響一さんもやってますが、その青森限定バージョンと思って貰っても良いと思います。写真満載で、海と森と建物(主に小屋)の風情が堪らん。12箇所を巡りますが一番インパクトがあったのは、波岡・本郷集落にある『東京』という地名です。「東京線三叉路」バス停目指してバスに乗るも、出てるのは1日二本のみで第1、3、5土曜日と日曜日は運休。そこには東京線橋という橋まで有った。その謎を追及する、民族学的興味溢れる推理劇というか、住民達の言及によりあっさり解明と思いきや、おおよそは合ってるが細かい所が微妙に違っており、それこそが面白い、地元で「東京」と呼ばれる家があり、その家に住んでる嫁さんに突撃すると、「そう、うん東京と呼ばれてますね、あんま実感無いんだけど、私が五代目と呼ばれてますから二代目位の人なのかな、私どこの娘やってば、「東京」てば、通じる。昔はそれで通用してました。」そして、始まりはその二代目のお父つぁんの嘘だったとは!他にも誰も入った事のない、秘境にはいり傾きかけた薬師堂を探検したり、地元民以外は誰も知らない五人カンというトランプゲームに熱中したり、灯台を尋ねたり、そしてここに紹介された建物やバス路線も今では跡形も無く消えたものも多く実に貴重な記録となってます。赤瀬川原平さんなら喜びそうな辺境地リポートでした。読めて楽しくて良かったですです。
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