
chika
@koitoya
1900年1月1日
読み終わった
筆者自らが女性用風俗ユーザーであり、自身の経験やセラピスト、経営者、女性セラピストなどを取材し、また自身も男性風俗店に勤務した経験を書いたルポエッセイ。
私は、女風を利用したこともないし、ホストもないし、風俗店で働いたこともないので興味深かった。
「「男性用風俗」と「女性用風俗」の語られ方がこれほどまでに違うことに、驚く以上に、だんだん苛立ってきました。」(p43)
「以前、女性教師が男子生徒に性加害を行ったというニュースがSNSで話題になったことがありました。興味本位でリポストを見てみると、「ご褒美」などといったコメントが並んでいて、胸が詰まる思いでした。「男性だから」見過ごされている痛みやリスクは、少なくないのではないかと思います。「男性(の身体や心)は傷つかない」「男性にとって女性との性的接触はなんであれ嬉しいことである」ーそんな先入観。誰が、なんのために、こうした物語を作ったのでしょう。」(p58)
これらのように男性と女性の性欲や風俗の利用はどうして受け取られ方が違うのか?という疑問は私も気になっていルので興味深かった。
「性に奔放な女性の話は「病」として処理されがちです。女性の性体験の話は「トラウマ」や「自傷」「メンヘラ」的な言葉と結びつけられるのに、男性のそれは少し前までは「健康の証」「元気でよろしい」で済まされてしまっていたし、今は今で「加害者にならないように」という話になりがちで、その男性自身の抱える悩みの話には至らない。」(p142)
「つまり、女性の性欲は世間に認められていないから「風俗を利用する理由は性欲だけじゃない」ってことにしたがる一方で、男性は弱さを認められていないから「性欲だけ」ということになってしまうのでしょうか。」(p159-160)
私はある程度仲良くなった男性で聞いてもよさそうな相手であったら風俗を利用したことがあるかどうかを聞いてみたい欲求がある。それは隠されている欲望を知りたいっていうのもあるし、弱さというのを知りたいからなのかもしれない。
それは語られていない領域を見たい欲望なんだけど、男性の風俗利用ってただの「性欲」だけではなく、寂しさ、承認欲求、自信のなさ……とかいろんなものが絡んでる場合があるのではないか?社会的・または個人もそれを全部「性欲」に圧縮してしまっているのではないか?だからそこをほどきたい気がする。
「今みゆきさんが語っている内容は、いわゆる「ケア」にも近いのでしょう。ただ、根本的に言えば、性サービスを受けたことで、自分自身の抱える問題が解決されるわけではない。むしろ、それを望むのはお門違いです。
福祉や介護のような仕事は「問題解決」や「自立の支援」を目的としている。一方で性風俗は、問題解決を第一の目的にやってくる人は少ないはず。みゆきさんは、「性風俗のお客さんの中には、自分の見たくないものから逃げた結果、性的な刺にたどり着いた、という人も少なくないと思うんです」と言います。
「でも逃げたところで、結局見たくないものを見なければならなくなることもあるんですよね。」(p170-171)
ただこれもわかる。
性風俗って、問題解決はしないものだし(これの言うとおりそもそもそう)、でも一時的に「触れられる・肯定されるっていう、すごく曖昧な位置にある。
福祉みたいに正しく救うわけでもなく、恋愛みたいに継続する関係でもない。
では風俗ってなんなんだっていろいろやっぱりわからなくなるものだなあって思った。
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『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』藤谷千明(中央公論新社)
筆者自身が女性用風俗のユーザーであり、自らの体験に加え、セラピストや経営者、女性セラピストへの取材、さらに自身が男性風俗店で勤務した経験も含めて書かれたルポエッセイ。
私は、女性用風俗を利用したこともなければ、ホストに通ったこともなく、風俗店で働いた経験もないため、その内実を知るという意味でも非常に興味深く読んだ。
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「『男性用風俗』と『女性用風俗』の語られ方がこれほどまでに違うことに、驚く以上に、だんだん苛立ってきました。」(p43)
「以前、女性教師が男子生徒に性加害を行ったというニュースがSNSで話題になったことがありました。興味本位でリポストを見てみると、『ご褒美』などといったコメントが並んでいて、胸が詰まる思いでした。『男性だから』見過ごされている痛みやリスクは、少なくないのではないかと思います。『男性(の身体や心)は傷つかない』『男性にとって女性との性的接触はなんであれ嬉しいことである』――そんな先入観。誰が、なんのために、こうした物語を作ったのでしょう。」(p58)
こうした指摘にあるように、男性と女性の性欲や風俗利用が、なぜここまで異なるかたちで受け取られるのかという問いは、以前から私自身も気になっていたものであり、とても興味深かった。
「性に奔放な女性の話は『病』として処理されがちです。女性の性体験の話は『トラウマ』や『自傷』『メンヘラ』的な言葉と結びつけられるのに、男性のそれは少し前までは『健康の証』『元気でよろしい』で済まされてしまっていたし、今は今で『加害者にならないように』という話になりがちで、その男性自身の抱える悩みの話には至らない。」(p142)
「つまり、女性の性欲は世間に認められていないから『風俗を利用する理由は性欲だけじゃない』ということにしたがる一方で、男性は弱さを認められていないから『性欲だけ』ということにされてしまうのでしょうか。」(p159-160)
私は、ある程度関係性のできた男性で聞いても大丈夫そうな人であれば、風俗を利用したことがあるかどうかを聞いてみることがある。それは単なる興味というより、隠されている欲望や、そこに含まれる弱さを知りたいからなのかもしれない。男性の風俗利用は、単なる「性欲」だけではなく、寂しさや承認欲求、自信のなさなど、さまざまな感情が絡み合っているのではないか(そこは女性と同じではないだろうか?)。しかし社会的にも、あるいは本人自身によっても、それらはすべて「性欲」という言葉に圧縮されてしまっているように思う。だからこそ、その内側をほどいてみたいという気持ちがある。
「今みゆきさんが語っている内容は、いわゆる『ケア』にも近いのでしょう。ただ、根本的に言えば、性サービスを受けたことで、自分自身の抱える問題が解決されるわけではない。むしろ、それを望むのはお門違いです。
福祉や介護のような仕事は『問題解決』や『自立の支援』を目的としている。一方で性風俗は、問題解決を第一の目的にやってくる人は少ないはず。みゆきさんは、『性風俗のお客さんの中には、自分の見たくないものから逃げた結果、性的な先にたどり着いた、という人も少なくないと思うんです』と言います。
『でも逃げたところで、結局見たくないものを見なければならなくなることもあるんですよね。』」(p170-171)
この感覚もよくわかる。性風俗は問題解決をする場所ではないし、そもそもそのようなものとして設計されていない。それでも、一時的に「触れられること」や「肯定されること」が得られる場ではある。
福祉のように「正しく救う」ものでもなければ、恋愛のように関係が継続していくものでもない。風俗とはケアとは……と考えても答えはなかなかでない。
「やっぱりこういうのに男女差はないのかもしれません。職業に貴賤なし、クソ客に性差なし
......なんてね」(p34)
この言葉好きだな。


