
清水美穂子
@favoriteworks
2026年4月9日
語るに足る、ささやかな人生
駒沢敏器
再読中
ローング、ローング、タイム、アゴー
アイオワ州にある廃墟のようなホテルを営む、ほとんど目の見えない老婆の昔話に、作者は耳を傾けている。好きなシーンの一つだ。
ごくささやかな小さな町だけを車で巡る旅。
そこで生きる、名もなき人たちとの出会い。
この本を読んでいると、初めてアメリカ中西部を訪れた頃のことがひどく懐かしく思い出されて、自分がこの老婆になってしまったことを知る。
『語るに足る、ささやかな人生』は最初の単行本で大好きになり、拙著『月の本棚 under the new moon』でも紹介した。
本の好きな誰かと話をするのは楽しいが、書店やカフェなどを巡るツアーで、この本はとくに旅好きの男性に人気があった。
わたしもアメリカ横断は長年の夢だった。
いまは復刻を喜びながら再読している。
それが、失われてしまったかもしれない風景だとしても、大好きだったアメリカの一部がそこにある。

