
高山碧瑶
@uya_20250906
2026年4月9日
買った
読み終わった
@ 飯野書店
ルワンダ内戦ではツチやフツ穏健派がフツ系の政府とフツ過激派によって殺害されたルワンダ虐殺がクローズアップされてきた。しかしこの内戦後に亡命ツチ系のルワンダ愛国戦線(RPF)の反攻と体制転換、それによって発生した亡命フツ系の武装勢力とRPFによるアバチェンゲジ紛争によって多くのフツ、ツチ双方の国民が虐殺や殺害の対象となった。
著者のフィールドワーク地域のムサンゼ地域は住民のほとんどがフツ系で、アバチェンゲジ紛争での犠牲者が多かった。しかし現在のRPF主導の政権下ではフツ系側の被害を語ることは虐殺イデオロギー法をはじめとする法律によって処罰の対象となるリスクがあり、住民たちは沈黙を余儀なくされている。
本書ではこのような状況の中で住民たちがどのように戦災の傷から回復しているのかをインタビューや教会·講·死生観の調査によって明らかにしてきた。
内戦によって誰もが不条理な死とコミュニティの断絶を経験するなかで、生活を通してコミュニティの再建と共存によって被害者加害者の和解を目指しているというのが、この本の問い「生きることでなぜたましいの傷が癒されるのか」の一種の答えになっていたように読めた。
災害や戦争の傷を個人の内面の問題としてとらえる精神医学のアプローチに加え、コミュニティによる人間の回復というのはこれからもっと重視されていく必要があるのだろう。
