
にっかり青江
@faizRDM
2026年4月9日
読み終わった
人生に失敗し、詐欺を生業にしている中年男性二人のもとに、若い女性二人、青年一人、そして猫1匹が転がり込み、5人と1匹の奇妙な共同生活が始まる。やがて、それぞれの事情が複雑に絡み合い、一大ペテン”アルバトロス作戦”が幕を開ける。
中盤以降はとにかく面白すぎて目が離せなかった。興味に負けて「寝る前にちょっとだけ」とアルバトロス作戦を読み始めたが最後、深夜3時まで一気に読み進めてしまったほどだ。稀に出会う、まっさらな状態でこの物語に出会える人が心底羨ましくなる傑作の一つになった。
ただ序盤は、設定が重くて読むのが辛かった。
人生に敗れた二人の中年だが、特に主人公のタケさんは妻と死別し、娘も借金取りによって半ば殺されたような状態で物語がスタートする。折に触れてその過去を回想する場面があるが、実際に幼い娘がいる身としてはいたたまれない気持ちになり、胸が締め付けられて思わず本を閉じてしまいたくなる瞬間もあった。他のメンバーもそれぞれに過酷な背景を抱えていて苦しい。さらに、アルバトロス作戦を決行する引き金となる事件も非常に衝撃的だった。
読み終えた今となっては、あの見事な結末のために不可欠な描写だったと思うが、これから読む人にはどうか途中で挫折しないでほしい。最後には決して悪くない、むしろ最高の読後感が待っているはずだから。
「理想的な詐欺は、相手が騙されたことに気が付かないこと。理想的なマジックは反対で、相手が騙されたことを自覚できないと意味がない」
作中でとある人物が何気なく語るセリフだが、作者は実にみごとなマジシャンだった。
