
紫香楽
@sgrk
2026年4月9日

虐殺器官
伊藤計劃
読み終わった
面白かったけど、ハーモニーを読んだ15年前に一緒に読むべきだったなという感じも強い。
自分にとってハードボイルド的な描写を無邪気にかっけえ〜と思える季節がとっくに過ぎてしまっていた。(とはいえこの作品はナイーブなまま成熟できない人として主人公が描かれているとのことなので、ホモソみはハードボイルドとしてはかなり少なめの繊細な人として描かれているとは思うのだが)
氏が存命だったら今の世をどう思い、またどのような未来をSF作品として描くのかなと気になった。
中盤でジョン・ポールがハウダニットを語るわけだが、人を虐殺に向かわせる、虐殺を肯定させる文法ってまあヘイトクライムとか、人を分断した語りとかだよな〜と思い、全ての文が語ることそのものではなくそれ以外の文意を含むというのも当然の内容だったので、(作品内で語られる文法というのはそれだけのものではないのだろうとは思うのだが)まあ「知ってる話だな〜」という気持ちになってしまった。
ASDの自分でも20くらいで気づいていたような話だ…と思いながら読んだ。でもそれ(「言いたいこと」は「言っている内容」ではない)が分かってない人は死ぬほどたくさんいるわけで、それに気づかせたかったのかな〜とかも少し思った。知らんけど。
また、「言っている内容そのもの」と「自分が本当に言いたいこと」が違うのと同時に、「人がどう受け取るか」とか「社会においてこの言葉はどういう意図のものになるか」とかも違ってくる。
そういう大局観というものがSNSには皆無な中、ひとつひとつの発言が大きな意図や勢いを持ち暴力的なものとなっていってしまったりするわけで、虐殺器官の言う「虐殺の文法」はSNSという未来をある意味で示唆したに近いようにも感じる。
ジョンのエゴに満ちた動機と、クラヴィスの選んだ結末はおもしろかったし結構好きだった。
今の日本はヘイトクライムや自己責任論といった虐殺へ至る文法が既に満ち満ちており、自衛官の中国大使館侵入とかも正にその結果だよな〜という感じなので、そうした虐殺の文法を少しでも減らしていけたらいいよなあと思う。





