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紫香楽
紫香楽
@sgrk
久々に少し読み始めた。荻上チキと積読チャンネル好き。二次元オタク。本の趣味の合う方と知り合いたいのでReads,bsky共々お気軽にフォローください。
  • 2026年10月11日
    乳と卵
    乳と卵
    女体を持って生きることの嫌さを生々しく感じる文章だなと感じた。 一文が長く読点で延々続ける文章は樋口一葉風らしいが、自分は樋口一葉の文章を知らなかったのでそうは思わなかったんだけど、誰に似てると感じたかと言うと思い出せない。誰だっけ。太宰?漱石?中島敦とかもたまに長いかな。でも別に常に長い文なわけではないんだよな。 個人的には「ハイパーたいくつ」に近さを感じた。超スピードでべらべらまくしたてる交感神経バキバキの言語優位ADHD感。でも「ハイパーたいくつ」ほど話題が飛んだりはしないのでそういう意味でADHD感は薄い。 私は巻子と逆にいずれ胸を取りたい人間なんだけど、それはシンプルに邪魔なのもあるが、一番はでかいためいつか垂れるからというのがやはり大きく、そう思うと巻子のいるところから自身も逃れられていないと思う。 頭で卵割り合うの全然意味わかんなかったけどお互いちゃんと話せてよかったね。 わりと短編のほうが好きな話だったかも。なんで一緒に入れた?感はあるが…。 こういう世界に換算されないタイプの女の話はわりと好きだ。 ゆきずりの人とセックスするのってなにがどうなるとそうなんの?という疑問もわかる。
  • 2026年10月10日
    C線上のアリア
    イヤミスじゃない!? 面白かったけど嫁姑問題、介護問題というテーマ性に対する答えや考えよりもエンタメ性に振られて終わるのがやや勿体なく感じた。(一応それに相当するのは主人公がケアマネになろうとするところなのだろうとは思う。他者が介入したほうがよい) とは言え過去の真相を解き明かすことで、自身も邦彦も自分の現在の環境の中で前向きにやっていく道を選び直せるというのはいい結末だと思う。 二世代に渡って描かれる嫁姑問題と、「結婚相手となったかもしれない家に介入する」という現象の交差が面白い。ロジカルにプロットを組むタイプなんだろうなと思った。 ノルウェイの森を読んでないのでどのくらい内容やイメージが被るのかはわからないのだが、邦彦は初期村上春樹の描くデタッチメントの男感は強かった。 題材的に同じようなことで苦しんでいる女性は多いだろうと思うので、前向きな終わりなのはとてもいいと思った。 主人公が菜穂から得た情報によって再会した邦彦を素敵だと思わないし特に不倫になったりしないのもいい(古臭い小説なら100%不倫しそう) シスターフッド的な要素もあるけどただシスターフッドなだけではなくしがらみや疑念もあるのもいい。 でも個人的には小説にはもっと哲学的なテーマなり答えなりがほしいかな。 とはいえ朝日新聞連載七ヶ月きっかりでこれをやったということは一ヶ月一章でプロットを切ってその通りに書いたということで、その淡々とした堅実な執筆力は作家としてすごいなあと思った。
  • 2026年10月5日
    春にして君を離れ
    春にして君を離れ
    多分こういう話なんだろうな〜と思いながら読んだが実際そういう話だったし、序盤からかなりその感が端々から漏れ出ていた。 ちょろっと出た人の話が後からまた詳しくされたりすることが多く、「えーとさっき見た名前な気がする…」と探すことが多かったので、Kindle版も便利そう。 多分叙述トリックなんだけど、現代ならそれなりに多くの人が読みながら真相には気づけるんじゃないかと思う。 読者へのヒントもかねているのだと思うけど、ジョーンの周りには校長のような忠告をしてくれる人もいたわけだけど、まあ、このタイプの人は気づかないし聞かないよね…。 例えば夫が農場をしたいと言った話なんかも、実際は一度限りの気の迷いではないように話されているんじゃないかと思うんだけど、この手の人にかかれば「そんなの聞いてない」になってしまうんだよな。 それだけに終盤突然なにという明確なきっかけもなく一人で真相に気づき始めたのは驚いたし、ご都合主義なようにも思った。 でも結末としての選択は結局アレなので、トータルではご都合主義でなく、怖いしつらい話だな……という印象になる。 うちもかなり母親がこのタイプの独りよがりで人の話を聞いてない人なので、「あ〜…」という感じなのだが、それなりの年数生きていれば多くの人間が読みながら「自分自身もこうなのかもな」という恐ろしさを感じずにはいられないんじゃないかと思う。 感じない人もいるだろうが、そういう人は心配なのでもう少し自身を省みたほうがいいかも。省みたら必ず気づけるわけでもないと思うけどね。でも少なくとも省みなければ絶対に気づくことはないんだろうから。 にしてもジョーンは一度気がつけたのに、「そんなはずはない」とそれを振り払ってしまったのは本当に勿体ないことだ。 「他になにもすることのない砂漠」での内省からそこに至ったというのは、日々の仕事の忙しさや疲労、SNSやショート動画で常に脳や耳をいっぱいにしてなにかを深く考えたり己を省みたりすることから遠ざかりがちな現代人には、省みるべきところがあると思う。
  • 2026年10月1日
    夏帆
    夏帆
    冒頭イライラしながら読んだけどなんだかんだ佐原の出番が少なかったのでそれなりに楽しく読めた。 初期作品しか読んでないので全然感じが違くて驚いた。 現実か夢かわからない異世界と行き来する作風という話は聞いてたんだけど、想像してたのと違った。この作品だけ? わりとファンタジー少女小説、YA、漫画やアニメのような二次元を感じる話だった。 王道の行きて帰る物語だった。 ラスト母の胸見て「この乳で育った…」と感極まるところキモすぎてワロタ ならねーよ 母娘話で娘視点をジジイが描くのは無理があるからせめて母視点で描いてはと思った。 母娘という題材を選ぶのも申し訳ないが正直ややキモを感じてしまった(当事者性がなさすぎて)が、不和ってほどでもないけど距離感のある母娘で、娘は自分の問題解決のために頑張った結果母からの歩み寄りがややあって終わる、というのは適度だなと思った。 最後、刺した後から終わりまでが呆気なさすぎて少し残念だった。 なにしたらいいかというとうーん。日常に帰っておかしくない新しい出会いがあるとか? 行くときはどこで境界線を超えたんだろう。 女主人公になると出てくる男キャラが性欲なし男になるのずるくないですか? 女主人公だと彼氏途切れないが作中では彼氏なし性行為もなしになるのも(読みやすかったけど)ずるいしムカつくなと思った。 次はやりまくり女主人公書いてほしい。 あと自分の意志で刺して欲しかったなと思った。じゃないと意味なくないか? 母が「自分の犯した罪をあなたが正すのよ」と言うのも、じゃあ『刺して』じゃなくて『刺してください』だろうがデコ助野郎、娘に自分の罪の生産を押し付けるな。 思考停止して猫の声に従ってて情けないなと思った。これ男主人公でもこうなんですかね。男主人公は自分の意志で刺せるなら女舐めてると思う。 他の作品も読みたかったからこの感じなら読めそうでよかった。 この感じではないだろうから今後もキレながら読むと思う。 (追記) 風の歌を聴けとピンボールしか読んでなかったから小説めちゃくちゃうまくなってて驚いた。 26で絵本作家という設定は厳しくない?と思ったので、仕事はイラストレーターで絵本は同人で出してるのでいいんじゃないかと思った(そんなリアリティ求めてないと思うが)
  • 2026年9月29日
    BUTTER
    BUTTER
    おもしろかった〜 長かった ちょいちょい合わないところもあったけど「そうだよね〜」という描写もすごくたくさんあってよかった。 私自身はかなり降りてる場所での話だったけど、降りてても結局女であるというだけで一生ジャッジされて好き勝手言われるわけなので、そういう話は共感がある。 全体的にやや結論ありきで、途中の言動ややりとりに無理やり感を感じるところもあったけど、小説のそういうのは相性だよなと思う。 特に里佳が心を開いていない相手に突撃し続ける状況が多かったので、そういうところはやや不自然にも思えるようなやりとりになるのは仕方ない気もする。(相性だと思うが…) 「料理振る舞いたい相手は彼氏じゃないな…」と思ってたとこ、「そうだよね伶子だよね」と思って読んでたんだけど、最終結構色んな人が振る舞われてたのでハブられる誠草だった。 仕事の大変さは同業として共有できるけど戦友ではないって感じなのかな。 篠井の家にみんな集まるようになるところでかなり話としてはめでたし!な雰囲気になるわけだけど、そこからさらにもう一山あるのがいいなと思った。 一番大きいのは里佳と伶子のシスターフッドだと思うんだけど、篠井、北村、有羽なり誠なり(パーティーには呼ばれないけどSOSには絶対駆けつけると思われている)、いろいろな人たちとゆるく繋がっているのがいいなと思った。 ラスト伶子が篠井と不倫してたのでは?という勘繰り、そんな〜と思ったけど、要するに親と同じことだけはするなという自分への縛りが解けたということなんだろうなと思った。 里佳自身も独りよがりで勝手に人を決めつけて喋りすぎだろと思うんだけど、そこはカジマナと似たところがあるキャラ造形としてそうなっているのか、意図せずなのかは不明。 最終カジマナは現実を捻じ曲げて語る人だと分かるわけだけど、中盤の「現実を捻じ曲げて話してますよね」凸をするとき読み手として気持ちがついていかなかった。 まだ「こいつ嘘つきじゃん!」と読んでいる自分が強く思えてないのに既に里佳が暴走してて「失礼じゃないですか?」になってしまう。 カジマナは里佳に復讐するし、実際とんでもないやつだと思うんだけど、中盤以降インタビューしてる間の二人のパワーバランスはやや偏ってしまっており、その間里佳のほうが強くなってしまっていたからな〜…という感じもある。 あの間に怨恨育つだろ…と思った。 父にあったのは孤独ではなく恥だろうなという描写があるけど、カジマナが里佳に復讐した理由も恥なんじゃないかと思う。 そのへんの関わりのこと無視して「自分みたいな人は滅びていくんだろうね」って言ってるのはなんか…? 結局カジマナに対して人としての敬意を失ってたんだろうなと思うので自分がインタビューするの降りたら良かったと思う。 もちろんだからカジマナはあの復讐をしてもいいとは全然思わないけどね。 自分もああいう復讐されたことあるのでオモロかった。 その人も現実を捻じ曲げてたな。 里佳が最終的に自分の思うまま生きられるような人になってよかったなと思った。 関係が壊れた人たちとも時間を置いて歩み寄れば修復できることもあるよという話なのもよかった。 いやにしても伶子が篠井と不倫……そか…… 嫌だが…… そか……まあ個人のことなので自由にしてくれと思いますが…… にしても客間三つはいくらなんでもデカすぎだろと思った。
  • 2026年9月14日
    地図と拳 下
    面白かった! 歴史物ってやっぱ歴史物をやることで描きたい部分があると思うんだけど、それを効果的に描くにはただ史実そのままだと物語表現としては効果的に描ききれないところが大きいと思っていて、そのために捏造するのも手ではあるけど、やはり捏造するってのは歴史小説としては元になった人たちや出来事に対してどうなのか…?というところで、描きたい要素を中心に組み直して創作小説にする、というのは史実に真摯であり、創作に誠実である手法でいいなと読み終えて改めて思った。 ただ創作の歴史なのではなく、史実で実際にあった事件や出来事を軸に組み直すことでその時代実際にあった問題や(日本人には)無視されている感情などが効果的に伝わるよう組み上げているというのがよい。 ただ本当に大変なのだろうことは参考文献の冊数を見てもわかる…… 自分にできる気はせん 人の感想を少し見たんだけど、「小川哲さんは賢いが故に諦めててダメ」と言っているものがあって、まあそれは……それは確かにそうではある……という感じだった。 けどまあそこは現在〜未来の話ではないからいいんじゃないかなとも思っていて、この小説で史実においてそういう迫害や日本人の横暴があった、戦争に向かったり正当化してしまったり立ち止まらないことを正当化する思考があった、みたいなことを読者が知ることは、世の流れや未来を変える可能性の一端になるのではないか? 小川哲さんはこの小説でそういう可能性の芽を撒きたかったのではないか? と思った。 まあ出て数年でここまで情勢が悪化するとは思ってなかったと思うんだけど(遅かれ早かれこういう方向になるということ自体はわかってただろうとも思うけども)。 その感想だと賢いから人間を諦めており希望が描けないと言われていて、まあそれは否定しないのだが、読んだ人がどうにかなるかも、というのも希望のひとつなのではないのかなと思った。 内容の話だけど細川はあくまで日本だけのことを考えていて、明男は人間全体のことを考えているという違いが最後に明らかになるのが面白かったな。 最初の高木の細川評から話が進むにつれどんどん細川が異常人だと明らかになっていく感じオモロい。 高木が上巻半ばで死んで「おまえ主人公じゃなかったんかい!?」になるのもおもしろい。 「言語化するための小説思考」でかなり小手先の技術な話がされているのだが、この本での参考文献の数と頭の良さを見せつけられ、この地力があるならまあそりゃ小手先の話なんてなんぼ外に出しても困んないよなと思いました。 すごい作家だ… もう少し他の作品も読んでみたくなった
  • 2026年9月11日
    地図と拳 上
    今の日本すぎる 巻末に「不適切な差別的呼称・用語が使用されています」の注意書きがあるんだけど、それについて「小説として俯瞰的に描かれることで、いまだ存在するこうした差別や偏見を生み出した状況や人間心理を批評的に捉えなおす契機となると考えております」と説明されてて、とてもいいと思った。 上記注意書きもだし、細川の物言いとかもう本当に今現代にもある排外主義や日本人・日本中心でものを考えている人たちへの皮肉すぎるんだけど、既に染まってる人には手遅れだとしても、まだそうなってない人が読んで色々知ったり考えたりするきっかけになるだろうなと思った。 日本語って日本だけで使われてる言語で基本的には日本人しか用いないから日本にとって都合の悪い、日本が敵として描かれれる話、恥ずべきことをしたような話って著しく少なくなるわけで、こういう日本側がひどいことした、憎まれる話があるのって大事だよなと思った。そういう視点にあまりにも慣れてなさすぎて加害者の自覚が持てない人たちが自虐史観とか言っちゃうんだろな。 小説家として社会のためにできることってなんだろうと考えて描いたのだろうなと思って、小川哲さんすごいな〜〜〜偉いな〜〜〜と思った。 現代的な価値観で(創作)歴史小説を描くという点でも新鮮でいいなと思った。 歴史小説ではなく創作歴史小説なのも好印象。 賞取ってるのもそう言う社会的な意義というところも非常に大きそうと思った。 上巻は正直わりとスロースターターを感じたんだけど終わりがけ細川が満鉄やめてギア入って来た気がする。
  • 2026年9月6日
    階段にパレット
    人の絵そのもの、絵を描くところを見せてもらったり、絵についての話を聞くっていうのはその人の中の世界や物語を見せてもらえるようなことで嬉しいよねと思った。 自分が幼稚園のときに通っていたアトリエにもルイくんのような男の子がいたなと、読んでいて懐かしくなった。 主人公がルイくんが引っ越すと聞いて家に電話をしたり家の前に行くのがかなり距離なしだな…と感じてしまったり、やや感覚は合わないなと感じる部分が多かった。 でもルイくんの母もあまり交友関係がなくルイくんのことで思い詰めており、主人公の距離なしに救われたのだと思うので、両者がいいならいいと思う。 イン・ザ・メガチャーチを読んだ直後だったので、「やや自分の中で勝手に物語を展開させすぎだな…」と感じてしまうところがちょこちょこあった。 こういうのは本当に相性だと思う。 ポプラ社だしジャンル的にはYAなのかな? 上記の描写もそういう感じの距離感に感じた。
  • 2026年9月4日
    ひとっこひとり
    コロナ直後の現代、さみしい人とさみしい人のささやかな関わりといった感じの短編集でよかった。 ささやかな話たちだけど、自分と同じ環境や思いの話がある人には刺さるんじゃないかと思った。 自分は「話して下さい」が刺さるところがあり、読んでよかった。
  • 2026年9月2日
    イン・ザ・メガチャーチ
    おもしろかった! 澄香と隅川の居場所が物語を通して入れ替わる(澄香はリベラル系からサバ番アイドルにハマり視野が狭く、隅川は俳優オタクから陰謀論集団に出会い視野が広く)けど、本質的にはどちらの場所も物語に支配されており、どちらも視野が狭いことは同じという構造がよかった。 「資本主義社会において物語に呑まれて搾取される」という例として澄香と隅川の話を展開させていながら、「人間はすぐ自分の思う物語に囚われる」という全人類に共通する普遍的な「物語」についての失敗例として武藤の軸があるのも面白い。 武藤の話は「自分は絶対にそんなことはない」とは誰も言えない例なのではないかと思う。 自分の思う物語に囚われる現象については田房永子さんの膜理論の話も思い出した。 たくさん元ネタのある話が出てきて、同じようなインターネットを見ているのを感じた。 特に現代の日本のSNSでのリベラル系の同調圧力の強さが描かれてるのが(エンタメ小説としては)珍しい気がした。 根本的なところとして一番の問題は、(気を逸らすものが世の中に溢れすぎていて)「本当に大切なものや問題そのものに向き合えない」ことなんじゃないかと思った。
  • 2026年9月1日
    ティファニーで朝食を
    ティファニーで朝食を
    思いの外よかった〜〜〜〜〜 表題作以外の短編もどれもよかった。 でも訳者あとがきの村上春樹氏が隙あらば自語りおじさんで申し訳ないですがややウザくて読後感が悪くなった。 自語り抜いてほしい。 生きる中で負う傷と、傷を負っても強く生きるホリーを初めとした人たちの姿と、カポーティからの「傷を負うことは惨めなことではない」という眼差しが優しかった。 それはそれとしてホリーの「いやったらしいアカ」は自身の傷に向き合わず、ないものとし続けていることによる歪みから発生していると思うので、カウンセリングや認知療法的な治療で根本的な対処をしない限り付き纏い続けると思う。 私は人間の傷を憐れなものだとは思わないのだが、世間一般的には憐れなものとする風潮があり、傷があると認めることで憐れな存在となってしまうことを避ける人は多い。ホリーのように気丈な人であるほど特に。 私からすると傷があることより傷を治さないことのほうが痛ましい。 傷のせいでホリーは人との誠実な向き合い方というものがわからない。 彼女の思う歪んだ「誠実さ」を続けることで世間一般的には不誠実な振る舞いを繰り返し、自身の猫を大事に思う気持ちも(逃してしまうまで)認識できず、主人公から向けられる愛や友情もそうと認識して受け取ることができない。 破天荒に見えたホリーの人柄が、生い立ちと考え方が語られていくにつれ説得力のある人間像になっていく造形力、描写力がすごかった。 悲惨さと、でもそれを本人は惨めだと思ってはいないしカポーティも惨めなものとはしていない、でも読み手としては「そんな人が現代(当時)にもいるんだ……、そうじゃない社会にしていきたい」と思わせる小説だったんだろうなと思った。 男性が女性に欲情するキモい描写が一切ないのもよかった。 どの話も良かったけど、個人的には「ダイアモンドのギター」が一番好きかな。「クリスマスの思い出」もよかったな〜 でも技巧的にはティファニーが圧倒的なんだよな。すごい小説だった
  • 2026年8月27日
    蒼き狼
    蒼き狼
    天幕のジャードゥーガルを読んで昔この本を読んだなと思い出し、このへんのモンゴルの話をおさらいしたいなあと思って読んだ。 一生戦争してるだけでつまんないなと思いながら読んでたんだけど、最終的には読んでよかったなと思った。
  • 2026年8月19日
    フランネルの紐
  • 2026年8月10日
    ナイン・ストーリーズ
    ナイン・ストーリーズ
    面白かった〜 いやごめん読んでる最中はつまんなかった。読み終わるまでどんな話なのかよくわかんないし、読み終わった瞬間も「これで終わり?」になる。 読み終わってこういう話かな〜というのを考えると面白くなってくる。 あった短編からいくつか選んで書いた順に並べて収録しただけらしいんだけど、入っている順で対比構造ができているのはなんでなんだろう。天才だから? ライ麦畑とは全然違う感じだったのも意外だった。 かなり情報が圧縮されているし、バナナフィッシュに始まり結局登場人物がなにを考えて感じているのかは分からない話が多い。 でもバナナフィッシュは主人公が大衆や世俗と断絶を感じているという構造自体はライ麦畑に近い。 サリンジャーがこんなに戦後PTSDについての作家だったとは全然知らなかった。 「エズミに捧ぐ」が特によかったし美しかった。最後の一文がとりわけいい。 「小舟のほとりで」もブーブーが提督として振る舞ったり、最後息子と駆けっこして帰ったり、ユダヤ人差別に苦しめられる中でも明るく過ごそうとノリが良くてよかった。 「笑い男」も「エズミに捧ぐ」の対称となる話としていいな。攻殻機動隊の笑い男事件とどう関係あるんだろうと思いながら読んだんだけど、名前を引用してるだけだったね。 読み終わって「こういう話か〜」と思っても人の感想を見ると全然捉え方が違ったりしておもしろい。 バナナフィッシュでも奥さんの人間性の受け取り方は多様だなと思う。表層しか見てないのはそうなんだけど、シーモアを庇って味方になろうとはしている、でも内面を理解しようともしてない、まあ人間そういう感じだよねと思う。ミュリアンも別に悪気はないんだと思う。戦後PTSDなんて知識のない時代なわけだし。 バナナフィッシュがああいう結末だからこそ、エズミに捧ぐで主人公の心が幾許か救われて、希望を見出せる終わりがよかったなと思う。 とは言え一度負った傷が完全になくなることなどないわけで、そうしたことからあるがままを受け入れる東洋思想は救いになったのかなと思う。 面白かったしグラース家のことは気になったので他の作品も読みたい気持ちはある。 でも正直得意な作家とは言い難い。キャラの言動のみが描かれ、そこから人柄や感情や意図を推測するようなクイズは現実世界で常にさせられていることなので小説でまでしたくない。 まあ気が向いたら…
  • 2026年8月6日
    ライ麦畑でつかまえて
    ライ麦畑でつかまえて
    ホールデン、ADHD/ASDすぎる。 全然こいつ嫌いだな〜と思いながら読んでいたのだが、学校もなにもかもが好きでなくインチキに感じて居場所がないし単位も取れないっていう感じには共感があった。(でも十代のときに読んでも全然嫌いだったと思う) 寮を出て電車に乗ったあたりから最後は自殺して終わるのかな〜、そうでなくても失踪するのかな〜、爽やかに自殺する感じで終わりそうだな、と思いながら読んでたんだけど、失踪はする気だったし死についての話もちょいちょい終盤出てくるものの、ちゃんと家に帰ったみたいでよかったです。 死んだり失踪したりせず、家に帰って(入院して)また次の学校に行くことになって終わるのに名作になってるのはすごいなと思った。 ホールデンは好きじゃないものが多いけど、同時に好ましいと思うものも色々あるし、別れれば好ましくなく思っていたつもりのやつらも懐かしく感じてしまうし、兄弟のことは深く愛している。 妹のフィービーもまたホールデンを深く愛している。 フィービーがいなかったら、ホールデンがフィービーを愛していなかったら、フィービーもまたホールデンを愛していなかったら家に戻る結末にはなれなかったと思う。 青春小説のラストがこうなのは(感化される読み手たちのことを思っても)いいことだなと思った。 私は完全にこういうの自殺か失踪させちゃうタイプの書き手だからな……
  • 2026年8月4日
    テヘランのすてきな女
    めちゃくちゃいい本だった〜! 読めてよかった。 イラン行ってみたいな〜
  • 2026年7月24日
    君のクイズ
    おもしろかった! エンタメ小説がうまい。 小川先生は二月くらいに「言語化するための小説思考」を読んでて、結構なるほどな〜という話が多かったんだけど、作品を実際読むと改めて説明されていた内容への納得度が高かった。 文体もサクッとしててするする読めるし、200Pという中編なので現在の調査と決勝戦とクイズにまつわる過去話とを行き来して話が進んでいくのも軽快でいい。もっと長いとだらだらしちゃうと思うので、形式に対する長さが適度。 他の作品も読みたいなと思った。今気になってるのは地図と拳。 小川先生作品でおすすめあったら教えてください。 追記 三島が調査していくうちに本庄に親しみを感じていく感じとか、最終的に会った本庄があんな感じで拍子抜けする感じとか、ディレクターの神的な感じとか、めっちゃコミカライズされてる野田彩子先生好きそう〜!!と勝手に感じ、おもしろかった。
  • 2026年7月24日
    痴人の愛
    痴人の愛
    エロ小説だと思って読むのに気が重かったんだけど、思ったより面白かったしさしてエロ小説でもなかった。 ていうか性欲の出てくる名著がこれまで読んだのだとキモいな〜というのばっかだったんだけど、それは男が女体と見るにつけ「女体とは興奮するもの」という感じで勝手に興奮していたのがキモかったのであって、痴人の愛におけるそういうのはわりと相互的なものというか、ナオミも譲治が興奮すると分かって、興奮させようとしてしていて戯れているので、あまり気にならなかった。 ロシア人の女性とダンス習うとことかもまあそんだけ密着してたらなという感じで妥当性があり、気持ち悪くなかった。 あと文章がずっと美しくてすごい。人間の造形(特に顔)が好きなんだな…と思った。自分は人間の造形が好きじゃないのでそうなんだなあと思いながら読んだ。 自分はオタクなので、なにかにハマりすぎるっていうのは譲治と同じことだと思う。傍目には愚かにしか見えない。 でも本人が楽しくて後悔しないならいいんじゃないでしょうか。傍目に愚かに見えたところで、それはどうでもいいことだと思う。
  • 2026年7月7日
    歩道橋の魔術師
    歩道橋の魔術師
    あんま面白くなかった。 台湾の70年代の子供の感じや文化の話は全然知らなかったので興味深かった。 村上春樹風と言われており、村上春樹氏当人を始めとした村上春樹風が自分は全然好きじゃないのだなと思った。
  • 2026年6月27日
    ペスト
    ペスト
    おもしろかった! 特に後半はかなりずっと熱いシーンが続いて登場人物もみんな魅力的でよかった。 カミュの文章も描写が非常に美しくて好き。 最後にこれまでの文を書いてきたのはリウーだと分かるわけだけど、リウーがあの客観的なようで美しく情熱を感じる描写たちを書いたのだと思うと改めてリウー…!!好きだ…… でも好きなのはどちらかと言うとタウーかも。リウーとタウーが親友になるのが良すぎる(だけに終盤が悲しすぎる)。 リウーとパヌルーの関わりもいい。だけにパヌルーの死も…… タウーの理想とした思想は現代にも通じるところがあると思う。ただ全てを知ってるとするのはやはり傲慢で勘違いだと思う。 リウーの理性的な理想もいい。 タウーの選ぶ手法が「共感」であるというところも、現代に必要なのってタウーみたいな人だよなあという感がある。 タウーは、人の死ぬようなことを自分はしないとしたことで、自分は歴史に関わることはないというような文章があるんだけど、現代においては人を殺さない、殺させないために動くことによって歴史が動くこともあるのでないかな? ランベールもよかったな〜 出て行かないと決めるところや働くと決めるところもだけど、別に怖いわけじゃない、負けた戦争にも出たことあるし、と言うランベールに対してリウーがペストと戦うことはヒロイズム的なことではなく誠実さだと言うところもよかった。 人間に希望を持っている人なのだという作家なことが(異邦人だとあまりわからなかったが)伝わってきてとてもよかった!
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